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1 集落北の題目塔

P4 集落北の題目塔
楡原法華圏には石仏は皆無であるが、その代わりに題目塔がある。扁平な川石や割石の正面に宗祖日蓮の筆法による題目、いわゆる髭題目を刻んだものである。村人は「ホーケサマ」「ホーカイサマ」と呼んでいる。集落の南北の入り口にあってこれより法華圏であることの榜示と村の安泰を守る立石と考えられる。
集落北の題目塔は、かつては楡原の北限にあったものと見られるが、現在は村界近くの岩稲トンネル横の国道西側崖上に建っている。
天和三年(一六八三)の銘があり細入地域では猪谷西禅寺前の地蔵石仏二体に次ぐ古い在銘石造物である。高さ四六センチ、一辺五二センチの大きな切石を台石とし、高さ一〇九センチ、横四〇センチ、厚さ三二センチの立石は川石を若干加工したものである。上方に破風状の頭部を残し、これより下方を削って塔身面とする。額部の中央にある月輪状のくぼみの中に凡字が刻まれていたのかも知れないが風化していて読めない。
塔身面の最下に法華を大きく線刻する。中央に大きな題目と「十界萬霊」を刻み、その向かって右側に「天和三年七月十六日」左側に「施主千部講中」と刻まれている。
明治一七年(一八八四)の道路改修以前に三〇〇メートルほど南にあったものを現在地に移したと伝えられている。
楡原では毎年二月一六日の火祭りの日に外から村に災いを持ってくるのを防ぐため道切りとして、楡原集落の自治会長が札付き締め縄を塔に巻いている。
「細入村史」