人生をたくさん味わうことができるのは映画を見ることだ。
-淀川長治
おそらく。この名言は、その他のことにも応用が効くだろう。
良き本をたくさん読むことでたくさんの人生を味わうことができる。
良き音楽をたくさん聞くことでたくさんの人生を味わうことができる。
良き絵画をたくさん見ることでたくさんの画家の美の視点を味わうことができる。
良き料理をたくさん味わうことでたくさんの国のたくさんの人々の料理への愛情を味わうことができる。
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89年の生涯で3万3000本をゆうに超える映画を観た淀川さんだから、計算すると、1日に一本は見たことになるなあ。
映画愛の稀代の語り部、淀川長治
どかーんとやって、あとは何もしないと言う人もいるだろうけど。私も淀川さんのように毎日毎日、一ミリずつ、好きなことをやるのが好き。
気がつくと。
56年間も一ミリずつだもん。
絵画も家中いっぱい。
レコードもいっぱい。
本も30000冊。
美術館も行って行っていきまくり。
DVDを蔦屋から借りまくり。観まくった。
本は古典が中心だけれど。
映画は、なんでも見る。すると、私があまり読まない推理小説の映画も入るし、政治、歴史、SF、音楽、絵画、ドラマ、ホラー、なんでも見れるから。
偏見とか、思い込みをとるなら映画だな。←淀川さんも強調している。
上のことをさらに。まぜまぜにして、やるのもまた人生の楽しみ。
例えば。
最近再視聴した「硫黄島の星条旗」を観て、なぜ、反日のクリントイーストウッドが、最初はこの映画の監督を拒否したのに、最後の最後で、監督をやろうとしたのか。そして、親日になったのか。
それは栗林忠道中尉の日記を読んだからである。
ドナルドキーンさんが指摘するように、世界一、日本人は日記を書くのが好き。
だから、snsでも、英語の次に多いのが世界でも日本語なんだな。不思議と言えば不思議だけれど、思えば、キーンさんが日本の文学を全部調べて、日本人って、なんて日記が好きなんだろうと結論づけたのよね。
あるある。
源氏物語から始まり、確か男が女の気持ちで描いた土佐日記を先駆として、 蜻蛉 かげろう 日記・紫式部日記・ 更級 さらしな 日記など仮名書きで、たくさんあるではないか。!!!
その遺伝子。
今でも、電車の中でみんなが、ぴこぴこスマホを見ながら、打ち込んでいるシーン。外人がびっくりする。
クリントイーストウッドはいう。
「私は白人だから、アジア人、特に日本人は嫌いだった。というか、知らない人種。ゾンビかと思っていた。ところが、栗林中尉の日記を読むと、奥様への優しさ、子供達への気遣い、飼っている動物ペットたちの、きめ細かな文章が際立っていた。それで、クリントイーストウッドは、感動して男泣きする。
栗林中尉は、部下と同じように飯をくらい。働き。塹壕を掘り。最後の最後まで抵抗をする。
自決はダメだと部下に伝える。
命の大事さを西洋人と同じく持っていることにクリント・イーストウッドは感激したのだ。
それが「硫黄島からの手紙」の映画になった。
最初のどうせアメリカ映画なんだから、アメリカの視点で描かれてるんだろうなとか、批判もあるだろうけれど、映画でも本でも見ない読まない人は頑固なまま 無知のまま 。
事実を楽しまないと。
淀川さんはいう。
「映画を見ると、偏見や、思い込み、それが取れるよ」って。
もう21世紀。
マルチバースの宇宙論が出てきたんだからね。
三島由紀夫が言う「心を白紙にして、本を読む」そんな態度を大事にしたい。
今夜は、何を観ようかな。楽しみ。
毎日、一ミリずつ、進むのが私の やり方。