ルパン三世の峰ふじ子の、オートバイにまたがる「いい女」のイメージはマリアンヌを参考にしたらしい。 |   心のサプリ (絵のある生活) 

  心のサプリ (絵のある生活) 

画家KIYOTOの病的記録・備忘録ブログ
至高体験の刻を大切に
絵のある生活 を 広めたいです !!!






「オートバイ」 (1979年) (白水社世界の文学)を、また再読してみた。10年ぶりか。マンディアルグは、三島由紀夫を絶賛していました。ヨーロッパで、当時、オートバイ族がたくさん増えたのは、この本と映画と、マリアンヌ・フェイスフルの影響と言われています。
 1979年。
 私が25歳の時。
 札幌パルコで仕事をしていました。懐かしいです。その頃に本を読み、映画を見たと思います。
「あたしの恋人の中には虎と神がいっしょに住まっている」 レベッカ

 私の持っている「オートバイ」は 愛読書なので、三冊あるけれども、マンディアルグは「ディオニソス」に捧ぐ、と序文に書いたらしい。探したけれども、8刷版を含む私の本には帯がありません。
 美輪明宏の「紫の履歴書」の初版本には三島由紀夫の帯の推薦文があるのに、2刷からは帯はありません。
 しかし。
 ディオニソス=バッコス=酒の神様。に捧ぐとは、かっこいいですね。
 アポロン=理性の神様に、捧ぐとは、書かずにです。
・・・・・・・・・・・
 よく友人と会話する時に、最近の映画について、「同じ2000円だすのなら、何回も、いつでも、繰り返し楽しめる本の勝ちだな」と、映画よりも本の方がいいと言う意見が多い。
私もそう思う。
しかしだ。映画の楽しみというのは、私は、物語や描写は当然として、出演者の「存在感」だと思っている。
だから、人間に味がまだ個性というものがあった60.70年代の女優・男優の出ているシネマについては、まだまだ語るところがあると思う。良い映画がたくさんあります。
マリアンヌ・フェイスフル。
もと、ミック・ジャガーの恋人。
フランス映画が、大好きだった当時の私は、シルヴィ・バルタンや、ヴィリジット・バルドーや、ジェーン・フォンダなどにも、10代だった私は当然ひかれていくが、このマリアンヌ・フェイスフルの「あの胸にもう一度」は強烈に私にインスピレーションをもたらしてくれた。
こつこつ、澁澤龍彦や三島由紀夫や吉行淳之介などの作品を、深く掘り下げて、辞書や批評文で、調べていく読書にあけくれていた私は、「オートバイ」の、この奔放で気ままで、猫のようになげやりな本能のままに生きる彼女を見て、驚愕し、女性にはかなわないと思った。
 本も映画も素晴らしい。
映画は、二時間の夢だ、と思う。
映画館から出れば、日差しが強くて目が痛くなるように、退屈で何も起こらない現実がその当時は待っていたが、その二時間だけは、快楽に身をゆだねることができる。
スターはスターであってもらいたい。
このことはしかしすごいむずかしいことだとは思う。
「なりきる」ことに昔の俳優は自分をかけた。
高嶺の花、が、良いと思う。
そこが彼らが色あせない理由だろう。
ちなみに、ルパン三世の峰ふじ子の、オートバイにまたがる「いい女」のイメージはマリアンヌを参考にしたらしい。
そしてまた、この映画とはまったく別の世界と私は考えている、原作本のマンディアルグの「オートパイ」は敬愛するあまり三冊も同じ本を持っている。白水社版が二冊と、Uブックスが一冊。緻密でこだわりのある文体のそれはまるでワタリガニのスパゲッティのように独特の香りが病み付きになる魅力を持っている本である。
彼が書く文章を読むと、普段、普通に見るもの、触るもの、食べるもの、聞くもの、すべてが何か幻想的で、神秘的なオブジェと変容していくことに、しびれる自分がいる。
まるで、ZENの世界に達した人の文章のようです。
良い文章を読んだり、声に出したりすることが好きです。

「けっこう、珈琲もミルクもいらないわ。食べ物もいいわ。桜桃酒をちょうだい」 レベッカ