当時のシネマ。
いや、小説も、音楽も。
死や、別れや、挫折をテーマにしたものが圧倒的に多かった。
そして、それは、私たち日本人の、心の中に無意識にひそんでいた「あはれ=無常観」の感覚を
ひきだしたのではないだろうか・・
だから、当時の映画は、印象が強烈だ。
たしかに、笑顔や、素直さや、歓びというものが人生でプラスの大切な思考というのは
よく理解できる人も、それが、実は、悲しみや、ひねくれた・ねじくれた心や・孤独というものから、発せられたものということが理解できるとは限らない。
表面的なものは長続きしない。
まさに、光は、暗黒が発する叫びなのだ。
ゲーテが描いているように、だからこそ、人生は涙とともにパンを食べたものでないとわからないとは、このことだろうと私は考えている。
良き映画を見る。
良き小説を読む。
良き漫画を読む。
良き音楽を聞く。
良き絵画を見る。
たとえ、それらがバーチャルであろうとなかろうと、魂の中での、脳髄のなかでの、化学変化はいずれ、血となり肉となっていくのだから。