春   あたりは夕闇に包まれて |   心のサプリ (絵のある生活) 

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画家KIYOTOの病的記録・備忘録ブログ
至高体験の刻を大切に
絵のある生活 を 広めたいです !!!

 春がちかづいています。
 札幌は、道路もほとんど雪がなく、春もいよいよまじかです。
 
 北海道の桜は、小さくて、ハッパが大きく、あまり美しいとは言われませんが、
 それでも、私も桜なのよ、と、必死にまだまだ寒い風が吹く中、桜の花びらを
 つけている小さな姿。

 もうすぐ、見れそうです。









 春は かるく たたずむ
   さくらの みだれさく しづけさの あたりに
   十四の少女の
   ちさい おくれ毛の あたりに  
   秋よりは ひくい はなやかな そら
   ああ けふにして 春のかなしさを あざやかにみる 



 八木重吉。29歳にして、夭折。















天下は実に春で。
雲はのぼせてぼうつとしてるし。
利根川べりのアカシヤの林や桃畑の中をあるき。
おつけのおかずになづなをつみ土筆をつみ。
なんとも美しいバラの新芽をつみ。
樹木や草からは新しい精神が。
それらがやはらかにぬくまつて燃え。
五六羽小鳥たちはまぶしくうるむ空をかすめて。
流れてゆくその方向遥かに。
雪の浅間の噴煙が枝々の十文字交叉をとほして……。
虫けらたちも天に駆けあがりたいこの天気に。
ああ。実際。
土筆の頭の繁殖作用や。
せきこんで水を吸ひ上げる樹木の内部の活動や風のそよぎや。
よろこびのものうい音楽はみち、
なづなをつんでるおれとおまへよ。
尾長猿のように木をとびまはり夜叉になり。この豊満をなき
たくなり……。

草野心平。