なぜ裸婦を描くかという心理 |   心のサプリ (絵のある生活) 

  心のサプリ (絵のある生活) 

画家KIYOTOの病的記録・備忘録ブログ
至高体験の刻を大切に
絵のある生活 を 広めたいです !!!

 裸婦の中の裸婦 (河出文庫)/澁澤 龍彦

¥819
Amazon.co.jp

知られざる裸婦の巨匠 田中保 改訂版/浜 靖史

¥1,260
Amazon.co.jp

 目白の近くに昔有名な裸婦デッサンスクールがあり、土日によく通ったものです。
 当時、二紀の先生に絵をならっていたこともあり、必死にデッサンを研究していたころ。
 裸婦の魅力にとりこになりました。三十代の頃ですネ。


 裸婦と描くと、女性のnudeというわけですが、私は男性のnudeもふくめて、裸婦だと思っております。
 ここまで書くと、ユーモアのある友人なんかは、「わたしのお腹なんか人には見せられない」とか「三段腹」とか言いますが、だれだって、生活の中の肉体というものはそんなものだと思います。

 ただ、夏の暑い日に、自分の腕から流れる汗と皮膚をよく見ていると、感動します。
 ウブゲが針の穴のような毛穴から飛び出し汗が丸く浮き出してくる。
 これが自分であっても、友人であっても、そして特に異性の場合は、まことに神秘的です。

 デッサンスクールでひとつの課題で数分ずつ、女性がボーズをつけながら、それを皆で描くわけですが、男女が半分くらい好きな位置に座り、もくもくと、白い紙に黒白灰のグラデーションをつけていく。・・・

 モデルの表情がしだいにうちとけ、空気が融けて行くなか、あたりは非日常の空間へと変容していきます。もう、ただ皆必死に紙とモデルのふたつに視線を交互にあわせつづけるだけ。

 木炭と紙がこすれる音が教室のなかに響きつづけます。

 人間の体の皮膚の美しさ、内臓がそのなかに密やかに息づく神秘の小宇宙。
 コントローラーとしての何億年もの進化をとげた脳が、手や指や肌や息や、それらの息づかいみたいなものすべてを統合している神秘と美しさ。

 若い女性男性の水をはじきとばすくらいの張りつめた肌。
 子どものパウダーをぬり込めたような肌の質感と骨格の可愛らしさ。
 中年の方のそれぞれの職業の生活の記録がにじみ出る骨格と肌感覚。


 どれもが素晴らしい。
 
 三島由紀夫氏の言う言葉に私は賛成です。


「この地球で一番美しいもの、一番=おんな、二番=馬、三番=猫」

(たぶん、この一番のおんなというのはあくまでも「見る」ことが本来好きな男からの視点であり、「見られる」ことを本質とする女からの視点である「おとこ」は省かれているのでしょうね・)

 

 というわけで、わたしは、本日もまたおんなうまねこを飽きる事も無く描き続け来ます。
 

三島由紀夫の美学講座 (ちくま文庫)/三島 由紀夫

¥798
Amazon.co.jp