あんたがこんなところへ私をつれてきたんだ!!馬鹿!!     huruhon |   心のサプリ (絵のある生活) 

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画家KIYOTOの病的記録・備忘録ブログ
至高体験の刻を大切に
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ビル・エヴァンス(p) 『Everybody Digs Bill Evans』
1.Minority
2.Young and Foolish
3.Lucky To Be Me
4.Night and Day
5.Epilogue
6.Tenderly
7.Peace Piece
8.What Is There To Say?
9.Oleo
10.Epilogue
11.Some Other Time (mono)

ただいま、北海道の岩見沢には星が光り、23時54分になろうとしております。
今日も終わりに近づき、11月もあと一日となりました。5.Epilogueを聞きながら、ビル・エバンスのピアノはなんて一日の労働を純化させてくれる音なんだろうと思いつつこの記事を書いております。



沈黙の星空を見上げ、凍り付くような空気とともに、今夜もまたはかない記憶の時間は過ぎ去っていこうとしております。

嫌なことも忘れ、傷ついたこころを癒しながら、好きな音楽をききながら静かな眠りへとみずからを誘いたいと感じております。



最近、男と女が、そのプラスとマイナスの駆け引きがあれば、両方があってこそ恋愛も楽し、家庭も楽しなんですが、新聞紙上をにぎわかせる様々なる事件を見ていると、ほんとうに異性不振というような病気が日本中を蔓延しておりますネ。


異性に惹かれて、努力し、異性の為に働き異性への愛に生きる。これがアリやハチや猿の動物の図式ですから、一応動物と神様のど真ん中にいる我々人類もまた、その図式の中で生きているのだと思います。

そのことを「自然からの束縛」と捉えるのか、
はたまた、「神様からのおくりもの」と捉えるのか、その人のセンスの問題でしょうか。
あるいは、環境の影響。友達、本、両親、新聞、テレビ。

アメリカなどでは、もはや、同性愛というジャンルも公然と認められている州も増えてきましたしね。

人はとにかく、男と女と<おかまとおなべ>しかいないんですから。

まあ、ここの記事では、その中の<男と女>について書いております。

以前、JRの座る椅子の前に置いてある小冊子に、たまたま、こんな記事がありました。

私は整理整頓が苦手なために、手元にその小冊子を見つけることができないので、イメージだけがこころの奥に沈殿していい感じに自分なりの味になっておりますので、まずは書いておきます。

なにやら。
北海道に家族三人で暮らしていた著者の、小さな頃のたぶん、小学三年生ごろでしょうか。
雪が降り積もり、吹雪が続く、三笠炭坑のぼろアパートで、家族三人で暮らしていた時に、
たった一枚のうすっぺらい布団で親父さんとその著者は寝ていたらしいんですネ。
普通ならば、寒いはずの、布団の中も炭坑から帰ってきて酒をたらふく飲んでいびきをかきながら寝ているお父さんの横でぴったり寄り添って寝ているその少年はお父さんが起きたら可哀相、あるいは、おっかない、というので一度寝たら寝返りをうたないようになるまで、習慣づけられたと書いてありました。

ある夜。

少年がうとうと、布団の上で寝ていると、横の部屋から大きな声で父親と母親が喧嘩している声が聞こえてきたそうです。
あんまり、声が大きいので怖くなったそうです。
「あんたがこんなところへ私をつれてきたんだ!!馬鹿!!」
「うるさい」
「なんでこんな寒いところへ来たんだよお」と言ってお母さんは泣きわめいている。
そのうちに親父が、母親をピンタして、横の部屋からは母親の静かに泣く声だけが聞こえてきたと思ったら、親父さんがその少年の横にざあーと布団の中にすべりこんできたらしいんです。

心臓の鼓動がドキドキっと鳴っている音を忘れません、そう少年は思ったらしい。

親父さんはそれから真夜中まで寝れずにもんもんとしていたのですが、少年は気づかれずにそおっと目をつぶっていたんです。

それだけです。親父さんの一番強い思いで。父の思い出は。貧乏で楽しい思いではなかったらしい。

そして、それから数年して母親のあとを追いかけるようにして父親がなくなり、少年は一人で成長したという記事でした。

うるおぼえなので、勝手に私が頭の中で、発酵させたのだけかもしれません。
でも、なんか、いい話だなあ。家庭って、親って、こんなんで子供は立派になるんだなあ、って、思えたんですね。普通に働いて、貧乏でも、子供つくって、喧嘩しながら、ひとつの布団でねる。母親はどこの部屋で寝たかは書いてありませんでしたが、それを聞くのは野暮というもんでしょうネ。

ビル・エバンスのピアノは三好達治の詩をふと、思い出させます。

                   雪   
           三好達治
 
 太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。
 次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。




 
 私も、昔、親父に抱きついたときに、草のような土のような匂いを今でもはっきり覚えております。
 妹と喧嘩したときに、親父におこられ、生まれて初めてピンタされたときのほっぺたの痛さったら。

 私はそのまま、雪が二メートルは積もった屋根の上にあがって、ひかりに包まれて寝ていましたよ。

 明日が今日になりましたネ。

 明日もまた良い日でありますように。