茂木健一郎が「小林秀雄賞」を取った時に、その小林さんの引用をすぐに思い起こすことができた。小林秀雄さんは以前から超能力の話やスプーン曲げの話も馬鹿にせずにきちんと書いており、人の死についての哲学的な考察は、私をひきつけていた。その部分を茂木健一郎が引用して、しかも小林秀雄さんの喋り方が落語家のだれそれにそっくりである、という言い方までしながら、自分の脳の仮説とすり合わせながら書いていたので、私はやられたと思った。
それほどに小林秀雄の脳や死や身体についての考察は科学的であり尚かつ文学的でしかも哲学的である。
還元論を排し、人は死ねば無になるだけだということについて子供のように反対した、そんなイメージがあり、マラルメのごとくすべての書は読まれたりである筈の彼は、ベルグソンなどから刺激を受けて「感想」にそのあたりのことを書いている。
そこからヒントを得てか、茂木健一郎は現代数理物理学者の騎手であり、一般相対性論や、ブラックホールについての数々の著作で世界的に有名なロジャー・ペンローズ卿の仮説を紹介している。
昨日も書いたが、もう少し細かく言うと、
「人の意識の流れは、絶え間のないクオリアの生成と消滅なのかもしれない」
「人の意識は量子力学の波束の収縮によって生まれる」
「人間の創造性はcomputerでは再現できない」
この三番目の仮説が一番賛否が別れるところだと思いますが、彼はニューロンを作っている微小管の中で
量子力学的な現象が起こっていると、細部にわたり書いています。その場所とは、「マイクロチチューブ」
という場所です。
これについてはもう少し引用させてもらいながら、他の書物との関連も見てみます。