先日、アメリカの有名なシネマスターが、昼飯のときに、友人に日本円にして2000円ほどのランチをおごらない、それはスターとしてあるまじき行為、やはり夢のあるスターとして徹してもらいたい、そんな記事だったと記憶している。
しかしだ。
芥川竜之介の小説ではないが、人のこころの弱さとしては有名人には「たかり」が多い。
かりに、まったくあり得ない話だが、私がその有名人だとして、年間に何十億もかせいで、財布には
いつでも数百万の金が入っていたとしても、普通の人間であるならば、たまにあう人ならば別として、いつも食事をする仲間に、いちいち、おごる必要はあるまいし、それをあてにしてもしも近寄ってくる友人ならば、もはやそれは友人とは呼ばない。
金持ちに孤独な人が多い、猜疑心が強い人が多いというのはほんとうだ。
金がそういうふうに、人をつくりかえる。
わたしだって、金が入れば、そんな人間にならないとは言い切れない。
ああ。
普通って、素晴らしい。
映画雑誌のコメントを書いた人は、阿呆である。
有名スターだけを悪者にはできない。
金のそんな悪の力にすこしでも言及してほしかった。