「・・・この前総体地区予選の帰り、会ったやん。そん時、俺の学校の人誰も残んなかったって言ったょなぁ?」
華之のぼんやりと、つぶやくように言った。バットを振り回していた晃輝が、華之の方も見ずに「うん」と返した。
「・・・今日さ、政輝って奴が『陸上は個人競技だな』って言ったんだ。」
「なッ・・・!!」
あまりにも驚いた顔で晃輝が振り返った。ボールがその間に晃輝の脇を抜ける。しかし、晃輝はそんな事気にしていなかった。
「その言葉、陸部の人達みんなの前で言ってきたん?まぢギレされんかった?そいつ・・・」
「そいつ・・・陸上部だょ。」
華之がそう言った瞬間、晃輝は何とも言えないくらいのすごい顔をした。目を見開いて、口をぱくぱくさせて、まるで魚のようだった。
華之は何だか笑えてきてしまった。
「で・・・お前は何か言い返したんか?」
「『まぁね』って言っといたょ。」
晃輝の顔はさらにおもしろい事になっていた。華之はついに笑い出してしまった。しかしそれに反して晃輝は真剣な顔つきになった。
「中学ん時、誰かが『陸上は個人競技』っつった時お前も怒ってたぢゃねぇかょ!!何であん時みたいに言い返さないんだょ!?」
華之はその言葉に返す事はできなかった。
わかっちゃいるんだ、わかっちゃいるけど・・・。華之は心の中でつぶやいた。そんな華之の気持ちがわかったわけではないだろうが、晃輝はそこで言葉を切った。
「・・・ゴメン。でも・・・俺、今、あの時のように陸上が好きでいられない」
「・・・そっか」
晃輝は口惜しそうにつぶやいた。つらそうだった。
「・・・ゴメン・・・」
「でも、陸上は辞めないょな!?」
「まぁ、1年のうちはやらないといかんからな。」
晃輝は何も言わなかった。
その後も2人は、どことなくいつものような明るさは感じられなかったが、笑い合いながら話続けた。











テヘ

笑