与論島の野鳥 No69 イソヒヨドリ | さすらいの風来簿

与論島の野鳥 No69 イソヒヨドリ

「広報よろん」 平成7年(1995年)7月6日発行 第206号

 

 

 

・イソヒヨドリ

     ヒタキ科

        方言名:

 

             * 写真のコピー、ダウンロードを禁じます。

 

 

6月の初め、昆虫同好会のT氏にオオゴマダラ(蝶)が集団で繁殖しているという場所に案内してもらった。

 


 

海岸沿いの岩場にアダンとモンパノキがドーム状に生い茂った中で、数個の黄金色をしたサナギがぶら下がっていた。

 

 


数日前には20個ほどあって見事だったそうだ。


翌朝、撮影の為に改めて行ってみると、まとわりつくような梅雨特有の湿気で潤んだ黄金色のサナギ達が、ちょうど雲間から顔を出した朝日を受けて輝いていた。


以来、バードウォッチングのついでに蝶の幼虫やサナギを探すのも楽しみのひとつになった。


それにしても蝶や蛾の幼虫(特に終齢幼虫)は何故に、ああもおぞましい姿をしているのだろうか。

                終齢幼虫:次の脱皮で蛹になる幼虫のこと。


ダーウィンとやらの自然選択説的進化論などというものを疑いたくなる。


むしろ突然変異説を支持したくなる。


あんな姿が淘汰された結果だとはどうしても納得できない。


最大の天敵であるはずの鳥達に対する効果も怪しい。


もちろん個人的な例外も中にはある。


アオスジアゲハの幼虫は愛嬌のある顔をしているし、イシガケチョウの幼虫を「カッコいい」とT婦人は言っていた。


ツミが営巣しているモクマオウ林でアオスジアゲハの幼虫を見つけた。


見るたびに大きく成長している。


サナギに変態する日を楽しみにしていたのだが、ある程度大きくなると、なぜかいなくなってしまう。


サナギも見つからない。


ついに一頭だけになってしまったのでT婦人に保護してもらった。


次の日、現場へ行くと、地面に突っ立っている一羽の鳥と目が合った。


気まずいような雰囲気の数秒の後、ぷいっと飛び去って行ったのはイソヒヨドリの雄だった。


原因はこいつだと思った。


近くの海岸沿いの岩場に数番いが営巣している。


好奇心の旺盛な鳥で、動くものには強い興味を示す。


人や犬が近付いても、すぐ逃げてしまわずに一定の距離を保ったまま様子をうかがっていたりする。


小動物だと近付いて行ってちょっかいをだす。


30センチ程のヘビと格闘しているところを撮った写真を見せてもらったことがある。


現場を押さえたわけではないので、鳥権侵害になっては申し訳ないが、樹上性の強い他の鳥達より地上で餌を漁ることの多いイソヒヨドリが「アオスジアゲハ幼虫失踪事件」加害者として疑われたとしても仕方あるまい。


この時期、野鳥達は子育ての真っ最中であり、昆虫やその幼虫は貴重な餌である。


どうせなら、あのおぞましい蛾の幼虫を優先して食ってくれるとありがたいのだが。
                                               (ヨロン野鳥友の会)                                          

【参考】  

 

 

 

 

 

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