与論島の野鳥 No63 キョウジョシギ | さすらいの風来簿

与論島の野鳥 No63 キョウジョシギ

「広報よろん」 平成6年(1994年)9月5日発行 第198号

 

 

 

・キョウジョシギ

     シギ科

        方言名:

 

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「涼しくなったから、もういいでしょう」と編集者に催促されて野鳥を見に出かけたのが8月20日。


台風16号が沖縄の南を西進中で、たしかに涼しいことは涼しいが、ちょっと風が強すぎる。


時期としても、夏鳥はほぼ繁殖を終えて南へ旅立ち、冬鳥が渡って来るにはまだ少し早い端境期といったところで、収穫はあまり期待できなかったが、強風に流されて珍しい鳥が来ているかも知れないとの思いもあって出てみた。


島の西側は穏やかだった。
ツバメやリュウキュウツバメが餌を追って低空を飛び交っていた。


天気の悪い日に低く飛ぶのは、餌となる昆虫が地面近くに集まるからだとか。


ツバメが渡ってきたのは8月12日。


その日も台風の影響で北風が吹いていた。


同じ日に初認があったムナグロとイソシギが茶花海岸の岩影でじっとしていた。


江ケ島の方へ回ると、エリグロアジサシが数羽、白波の立つ内海で盛んにダイビングをしていた。


打ち寄せられてくる子魚を狙っているのかも知れない。


桟橋には釣人が数人出ていた。


良く見ると釣人の近くをちょこまか動き回っている鳥がいた。


双眼鏡で覗くとキョウジョシギだった。
初認である。十数羽の群れだった。


水浴びをしている奴、昼寝をしている奴、羽繕いをしてる奴、走り回っている奴、羽繕いをしているエリグロアジサシに、ちょっかいを出す奴、思い思いに風を避けてくつろいでいた。


そんな彼等の仕草を眺めていると心が和む。


近くで釣をしている人達と無視し合っている光景もいい。


お互いに無関心でいることも、野生動物とうまく付きあっていく方法のひとつなのかも知れない。


シロチドリが2羽コンクリートの裂け目にうずくまるようにして休んでいた。


風の強い日に、砂浜で人の足跡のくぼみにうずくまっているのをよく見かけるが、体の小さいシロチドリには風避けにちょうどいいらしい。


島の東側と南側は大しけで風も強く、鳥影は無かった。


北側の海岸は風下で穏やかだった。


エリグロアジサシの幼鳥が、ぎゃーぎゃーわめきながら餌をねだっていた。


キアシシギが2羽、沖に向かって飛び立って行った。
ここにも数羽のキョウジョシギが羽を休めていた。


キョウジョシギは、シベリアやアラスカで繁殖し、日本列島を経由してニューギニアあたりまで渡るとか。


充分に羽を休めて、元気に旅立てるように無関心を装おう。

                                               (ヨロン野鳥友の会)

 

【参考】

 

 

 

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