与論島の野鳥 No53 イソヒヨドリ
「広報よろん」 平成5年(1993年)3月30日発行 第186号
・イソヒヨドリ
ヒタキ科ツグミ亜科
方言名:チグイバトウ、ハンシャギタ
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早朝、庭でイソヒヨドリがさえずった。
「オオ、ぐっどもーにんぐ」などと、まどろみのなかで聞きながら、ふっと思った。
「うちに来るイソヒヨは、たしか雌だったはず」
昼前、庭に目をやると、イソヒヨが興奮気味に鳴きながら飛び回っていた。
オペラグラスで覗くと、雄のイソヒヨがピラカンサの枝で実を食っていた。
「花より団子」、雌を見つけてプロポーズに来たら、うまそうな木の実があった・・・、と言うことか。
眺めながら「顔立ちは、たいしたこと無い。今朝のさえずりもいまいちだったなあ」なんて、まるで娘に言い寄る若者を品定めする父親の心境である。
裏手に図書館があって、屋上にしゃちほこが乗っかっている。
1羽の雄が縄張りを持っていて、そのしゃちほこの中で営巣していた。
巣立ったばかりの雛を、庭に連れて来たこともあった。
その雄が見えなくなったのは一昨年頃。
昨年の夏からは、今の雌が来るようになった。
もしかしたら図書館育ちのインテリイソヒヨ嬢かもしれない。
今では、人影を見つけると、餌をねだりにやってくる。
物干し竿の上で、家の中を覗き込むようにして催促することもある。
昨日、隣家の屋上で雄がさえずっていた。
雌は気にする様子もなく、放り投げてやるパンくずを、嬉しそうについばんでいた。
何処かこの近くで営巣して、そして巣立った子供達を連れて来てくれることを、期待しているのだが。
方言名をチグイバトウまたはハンシャギタといい、海岸沿いに多く生息するが、街中でもよく見かける。
うまく餌付けできれは、人懐っこくて、とても可愛い鳥です。
(ヨロン野鳥友の会)
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