与論島の野鳥 No44 ハリオアマツバメ | さすらいの風来簿

与論島の野鳥 No44 ハリオアマツバメ

「広報よろん」 平成4年(1992年)4月30日発行 第176号

 

 

 

・ハリオアマツバメ

     アマツバメ科

        方言名:

 

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ツバメのような鳥が、ツバメばかりではないと知ったとき、少しだけ物知りになった気がした。

 

尾が長いのがツバメ、短いのがリュウキュウツバメだと知ったとき、「あいつはツバメだな、、そんでこいつがリュウキュウツバメだ」などと自慢げに指さしながら、知人相手に悦に入ってた。

 

新しい図鑑を手にいれたとき、ツバメの仲間は5種類いると知って、ドキッとした。

島で見られるツバメ類のほとんどは、その2種類であると知って、ホッとした。

 

水平飛行では最も速く飛ぶといわれるハリオアマツバメという鳥がいると知ったとき、胸をときめかせて探し回った。

 

ハリオアマツバメはツバメによく似ている、分類学上はまったく別の種類のアマツバメ目アマツバメ科の鳥で、ツバメより一回り大きく、常に高いところを飛び回っていて、繁殖期以外は生活の大部分を空中で過ごし、食事はもちろん巣材も空中で集めるという。

 

しかも、飛びながら寝るらしい、なんていう噂まで聞いちゃあ、お目にかかりたいと思うのは人情。

 

風薫る5月、抜けるような五月晴れの天高く、高速で飛び回る三日月形をした物体を見つけたとき「あいつだ!」と思った。

 

双眼鏡で確認して感激したことがあった。

 

野鳥を意識して見始めた頃の話である。

 

アマツバメ類はハリオアマツバメ、ヒメアマツバメ、アマツバメの3種類がいて、与論島では、4・5月と9・10月頃見ることができる。

 

高級中国料理で名高い燕窩(えんか)ツバメの巣のスープは、アマツバメの仲間が喉からでる粘液と海草を混ぜて作った巣を使うのだそうだ。

 

島で巣を作るスズメ目ツバメ科のリュウキュウツバメは、泥と藁をこねて作るから、食ってもたぶんうまくない。

 

昔、アマツバメを見て「食ってみたい」と思った人がいた。

捕まえて羽をむしったら意外に体が小さく、骨と筋ばかりでとても食えた代物ではない。

 

卵も小さくて食料にはならない。

あきらめきれずに、えーい巣を食ってやれ!。

世界一食い道楽の中国人がそんなとんでもない食い物を発明してしまった。

 

高級料理とはいえ、ようするにアマツバメの唾液が固まってできた物、それを想像するとちょっとためらわれる。

 

もっとも、そんな高級料理を口にする機会は、一生かかっても私なんぞにはありはしないだろうが。
                                               (ヨロン野鳥友の会)

 

 

 

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