与論島の野鳥 No41 ダイゼン | さすらいの風来簿

与論島の野鳥 No41 ダイゼン

「広報よろん」 平成4年(1992年)1月1日発行 第172号

 

 

 

・ダイゼン

     チドリ科

        方言名:

 

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「シギチ(シギ類とチドリ類)の識別が出来るようになれば一人前」と言われるように、シギやチドリはおんなじような顔をしているのが多くてわかりにくい。


それに地味な種が多いこともあって、他の野鳥に比べるといまいち人気に欠けるところがあるが、それでも「バードウォッチング道は奥が深い」などと豪語しつつシギチにのめり込んでいくバードウォッチャーもいると言うから、つき合い方しだいではそれなりに魅力的な鳥達でもある。


「シギの声と酒があれば風流を語れる」と言って、夕暮れ迫る干潟へ酒を片手に通ったという人の話を聞いた。


「冬の海とシギがいれば、だれでも詩人になれる」とだれかが言っていた。


残念ながら風流を語るには修行が足りず、詩人になるには与論島は暖ったかすぎるようで、今だに凡人に甘んじている。


と、まあ別にそんなことを考えたわけじゃないが、なんとなくシギチに会いたくなって海岸を回ってみた。


北東側の数ヶ所をまわったが、会えたのはイソシギ数羽とダイゼンが一羽だけだった。


(今年の冬は渡り鳥が少ないのが気になる)ちょっと淋しい気もしたがダイゼンに会えたのはなによりだった。


ダイゼンはキジバトより一回り小さいぐらいの鳥だがチドリの中では大きい方で、私の大好きな鳥のひとつだ。


なにしろチドリ科の鳥なのだ。
 

偏見だと言われりゃ認めざるを得ないが、何故かチドリにはプライドを感じる。
 

しかもシロチドリの2倍もあるのだ。
それにダイゼンはいつも一羽でいる。これもいい。

 

傍らでイソシギが追っかけっこをしようが、キョウジョシギの群れがそこらじゆうの石ころをひっくり返そうが、常に泰然自若としている。
そこんとこがまた、いいのだ。

 

ところで、世間にはチドリに関して誤解があるようなので彼らの名誉のために弁解させていただきたい。
 

いわゆる「チドリ足」である。
 

酔っぱらいがあっちへふらふら、こっちへふらふらして歩く様を言うようだが、そういう歩き方をするのはシギの方で、チドリは決してそんな歩き方はしない。
 

彼らは直線的にあるき、曲がるときでもいったん急停止して向きを替えてから、またまっすぐにちょこちょこっと進む。
とっても律儀な鳥達なのだ。

 

だから「シギ足」または「シギ歩き」と言うべきなのだ。
(いずれにしろシギやチドリには迷惑に違いないが)

                                               (ヨロン野鳥友の会)

 

 

 

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