十五夜踊りの「ムカデ旗」について | さすらいの風来簿

十五夜踊りの「ムカデ旗」について

十五夜踊り。

二番組の「嶋中安穏」の旗には龍が描かれています。

 

 


龍は水(雨)をつかさどる。
龍と水(雨)の関係は、手水舎で龍の口から水が流れ出ていることからも理解しやすい。


十五夜踊りの最初の演目「雨賜~り(あみたぼ~り:雨をください)」では、演者が頭上にたなびく龍の旗に向かい、龍がびっくりするような声を発します。

 

龍を刺激して、雨を降らせるよう仕向けているのでしょう。

 

 


一番組は「ムカデ旗」を掲げます。
十五夜踊りの解説には「風の神様」との記述がありました。
どうもピンと来ませんでした。

 

 


調べてみると、龍が暴れると嵐になるといわれていたようです。


「龍が昼寝をしているときに、耳の中にムカデが入ってしまった。激痛に龍は泣き叫んだ。それ以来、龍はムカデが大っ嫌いになった」


龍はムカデが大嫌いなので、ムカデには近づかない。
とのことで、琉球王国時代の進貢船はマストのてっぺんにムカデ旗を掲げ、龍(嵐)が来ないようにしたというのです。

 


                     模写しました あせる

 

十五夜踊りの「ムカデ旗」は、龍(台風)を遠ざけたい島民の思いがこめられているのではないか?
そんな考えにたどり着きました。

 

 

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これは虫が良すぎます。
龍に、一方で雨をお願いし、片方で台風は嫌だというわけですから・・・。


龍をなだめすかし、怒らせず、穏やかに雨を降らせてもらうために、十五夜踊りを奉納するのかもしれません。


「ムカデ旗」に関しては、あくまでも自説です。
違う、といわれれば速やかに引き下げます。

 

 

追記。

ムカデ旗には以下の文言が書かれています。

 

「古之賢王好善而忘勢古之賢士何独不然楽其道而忘人之勢」


「故王公不致敬尽礼則不得亟見之見且猶不得丞而況得而臣之乎」

 

漢文に詳しい先輩に教えを請いました。

 

孟子の百八十四節だそうです。

 

「昔の優れた王は善を好み、自分の貴い身分や権勢を気にかけなかった。そうして賢者を敬したので、賢者も地位に関係なく同様な態度であったはずであり、善の道を楽しんで、貴尊権勢に捉われなかった」

 

「だから王公といえども敬い禮を尽くさなければ、簡単には会うことができなかった。会うことすらにわかにできないのに、臣下にするなど簡単にできないことは、言うまでもないことだ」

 

儒教は「孔孟の教え」といわれているように、孟子が重要な位置を占めています。

 

儒教は「先祖崇拝」が重要なポイントです。

 

先祖崇拝は教えがなくても自然に起こるもののはず。

 

ヨロンでは先祖崇拝がメインで、それには儒教の影響はないのでは、と思っていました。

 

が、古来から伝わるムカデ旗に孟子の教えが書かれているということは、ヨロンへの儒教の影響を考えないといけないのでしょうか?

 

 

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