牛の勉強会 | さすらいの風来簿

牛の勉強会

子牛のセリ。

 

 

 

最近は、100万円を越すようになった。

 

 

 

 

 

価格高騰の原因は何か?

いつまで続くのか?

糞尿処理の実態はどうなっているのか?

 

僕らのグループ(町政活性化ネットワーク)で、

JAと役場の担当者をお招きして勉強会を催した。

 

 

 

1.子牛の価格構造と今後の展望について

 

全国的にみると、飼養戸数は毎年減少している。

 

 

 

飼養頭数も減少している

 

 

 

供給される子牛の頭数(青)は、漸減。

子牛の平均単価(赤)は、上昇している。

 

 

 

ヨロンでは、生産頭数は維持されている。

生産額は、14億7500万円(平成27年度)。

サトウキビは、5億1000万円(平成26年度)。

漁業は、3億1900万円(平成27年度)。

畜産は、ヨロンの主要産業だ。

 

 

 

子牛の平均単価は、全国と同じように上昇している。

 

 

ヨロンの経営体をみると、

飼養頭数10頭未満が減少し、

10頭以上が増加している。

 

 

 

国内消費者の動向として、

先日、NHKの「 クローズアップ現代 」で、

国内の需要は、霜降りではなく赤身に移っている。

赤身の生産が追いつかず、ビジネスチャンスを逸している、

という内容が放送された。

ヨロンの子牛は、霜降り肉になる。

国内の需要とは相反するが、大丈夫か?

 

 

海外の動きをみてみる。

2016年5月2日、サビチラ館で自民党の参議院選挙前の大会が催された。

そこで野村哲郎議員が以下のように講演した。

 

 


TPP5品目、米、小麦、乳製品、甘味資源、肉の5品目のうち前4つは守った。
肉の関税は、38.5%から9%に下がることになる。
オーストラリアとは二国間協定で、すでに10%に下がっている。
ところが、昨年オーストラリアからの輸入牛肉の量は少なくなり、価格は高くなった。
関税が下がっても価格は上がった。

関税で牛肉の価格は決まらない。
原因は中国。

中国が輸入国になり、中国に肉が流れた。
  ⇒ TPPで関税が下がっても畜産農家に影響はない、

     とTPP交渉の結果を擁護したのかもと推察。

     問題は、国際市場で中国に買い負けていることだ。

 

 

下のグラフは 農水省のHP (9ページ)から。

2024年の見通しをみると、

2014年と比較して、日本の輸入量は変わらず、

中国は94%、アジアは56%に伸びるとみている。

 

農水省は、「我が国以外の牛肉需要が急激に伸び、関係者からは、いつまでも我が国が思うままに牛肉を輸入できる環境になく、買い負けがおきるという声。このため、国内生産をしっかりと振興することが重要」としている。

 

 

 

一方で、鹿児島県は輸出していて、その量は、

平成18年度の53.3トンから平成26年度は531.0トンとなり約10倍に伸びている。

 

 

 

中国の需要は今後も増えることが予想されている。

また、アジアの他の国々も成長に伴い需要が高まることが予想されている。

国際市場で、現に、日本の買い負けが起きている。
輸入が増えないこと、

また、国内の供給量が減少していることから、

高価格になっているものと思われる。

今後、輸入量が増え、価格が下落するとは思えない。

むしろ国際的な需要の高まりによって、輸出が増えていくかもしれない。

一方、国内では、霜降り肉から赤身肉へ需要が移っている。

国内的な需要減で余った霜降り肉は輸出に振り向けられるようになるだろう。

国際的な需要の伸び、国内供給量の減少により、

子牛の価格は高水準で推移するものと思われる。

問題は、後継者のようである。

農水省が「国内生産の振興を図ることが重量」と認識しているので、この認識にしたがって、後継者対策を国に促すことが求められる。

 

 

2.糞尿処理の実態について

 

・「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」に決められている。


・固形状の家畜排泄物の管理施設は、床を不浸透性材料(コンクリート等、汚水が浸透しないものをいう)で築造し、適当な覆い及び側壁を設けること。


・液状の家畜排泄物の管理施設は、不浸透性材料で構築し貯留槽とする。


・牛の場合、10頭未満はこの管理基準の適用を受けない。

 

 

ヨロンの実態。


・畜産農家の75%が 堆肥センター を利用している。


・台風で屋根がない、などの壊れた施設が多く、雨ざらしになっている。 修理しないといけないのだが補助がない。

 

 


・十分乾燥していれば堆肥に加工しやすのだが、雨ざらしで水分を含んでいると堆肥の製造期間が長くなる。

 

 


・堆肥センターは糞だけを受け入れている。尿は受け入れていない。


・尿の対策として敷料がある。敷料はラブセンターが作っているが、原料の絶対量が少なくたくさんは作れない。


・サトウキビの収穫後に残る葉(ハカマ)を使う人もいるが、ハカマは吸収が悪い。


・サトウキビの搾りかすを使う手もあるが、与論の製糖工場では燃料として利用している。


・木工所から出るおがくずは、すり潰さないと堆肥化しない。土にもどりにくい。


・堆肥を尿の吸収用に使う(堆肥戻し)ことを、大規模農家ではやっているところもある。


・堆肥は需要の多い時期が限られている。


・家畜保健所の権限の問題もある。与論には家畜保健員がいないため、指導が徹底できていない。


・平成12、13年から5、6年間、糞尿処理施設を作るための国の補助があったが、平成18年からなくなった。


・鹿児島県は、増頭奨励をしている。

それであれば糞尿処理施設も併せて作る事業を県に要請したらどうかとの意見。

 

 

岐阜大学がブタの糞尿からリンなどを抽出したり発電したりする研究をしている。

実用化を期待したい。

 

   

     24:00あたりから。

 

実用化の際には、糞尿の量が多いほうが、効率がいいと思われる。

経営面からは、小規模営農者の経営維持や後継者の問題がある。

糞尿処理問題や後継者問題を解決するため、将来的には、小規模営農者が集団で営む大規模蓄営舎を作ったらどうかと提案した。

 

JAのみなさん、役場のみなさん、ありがとうございました。

 

 

 

 

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