ここ最近、また読み出しているのがこの本。
『予兆』by 大川功 です。
大川功さんは、コンピュータがようやく一般企業で使われるようになった1960年代に、
コンピューターサービス株式会社(CSK)を立ち上げ、
一代で、巨大なグループ企業に成長させた人です。
かつては、ゲーム会社『セガ』の親会社でした。
さらにかなり早い時期から、情報通信技術(IT)が今後、自動車等のモノ(製造物)に代わる巨大な産業となる。
そして、巨大なハードウェアが、どんどん小型化(ダウンサウジング)され、
一人一台の時代になり、それに伴い、ハードウェアからソフトウェアが勝負の鍵になると予見していました。
この本が出版されたのは、もう20年以上前の話ですが、
実際にその通りになりました。彼の見通しは正しかったというわけです。
彼はこの本の冒頭で言います。
新しい産業には、かならずその「予兆」があるという。
その「予兆」をのがさずにとらえ、これを命がけで事業化しようとする人に対して、
天は「時流」という恩恵を与え、そして「使命」という社会的責任を負わせるのだと思う。
私の人生は、それに尽きる。
残念ながら、大川さんは2001年3月に亡くなってしまいます。
そして、その後CSKは、IT系の事業とは別に、金融サービス部門に手を出し、失敗。
特に不動産投資事業への資本集中が、後のリーマンショックのあおりを受け、
グループ全体が傾く結果になってしまいました。
どこのハードウェア会社に依存しない、独立系のIT企業を自負していましたが、
とうとう、住商情報システムに買収されてしまいました。
どうして、こんな話をするのかというと、
実は、CSKの入社試験を受けた事があったのです。
といっても、CSKのグループ会社ではなく、
そのグループを束ねるCSKホールディングスです。
初めて、ホールディングスが新入社員を採るということで、
日本全国の学生と戦いながら、採用試験を受け、最終面接まで残る事ができました。
その時に、私はこの本を読んで、“予習”をしたものです。
でも、CSKには大川さんの思いが今でも受け継がれていると思って、
それをそのまま採用試験にぶつけたような気がします。
なので、最終面接まで残ったのかなと。
ただ、残念ながら最後の最後で気後れしてしまい、受かりませんでしたが、
今思えば、受からなくて良かったかもしれませんね。