クラシック音楽とお散歩写真のブログ -23ページ目

クラシック音楽とお散歩写真のブログ

座右の銘は漁夫の利、他力本願、棚から牡丹餅!!
趣味のクラシック音楽をプログラミングする事に没頭、あとは散歩中に写真を撮りまくること。

中学受験応援しています。

Fantasina on themes from Mozart's Le nozze di Figaro in C,Op​.​124

Programming Music

Computer Programming : Hummel Note

Sound:GARRITAN PERSONAL ORCHESTRA 5
Re-Edit Mix & Matering:SSW10 Lite 



1833年のフンメル晩年の作品ですが、どちらかというと軽いサロンミュージックになっています。

 

作曲時の情景を想像力を膨らませて妄想・・・

 

 

d234b1e7当時のフンメルはワイマールの楽長職にあり、やや人気に陰りが見え始めてはいたもののヨーロッパに知らない者はいないほどの有名人でした。

 

ワイマールにはゲーテとともにフンメルを訪ねてくる文化人で溢れ、その中にはツェルターに連れられてきていたメンデルスゾーン姉弟がいたり、画家のドラクロアやシェリングと言った哲学者まで、文化芸術の街としてにぎわっていたころです。

ゲーテ家ではたびたび食事会やパーティが開かれ、フンメルはそこで演奏し、彼の息子もまたゲーテの孫たちの遊び友達でした。

ある日、多くの人が集まっていた日にゲーテはフンメルに「何か弾いてくれないかね、ヨハン」と言いました。

フンメルは「いいですよ。どんなのがお望みですか」

ゲーテ「そうだな、モーツァルトのアリアを主題にした何かを聞きたいな」とリクエストしました。

フンメルはピアノ前に座り、葉巻をふかしながらちょっと考えて、早速弾き始めました。

それはモーツァルトのフィガロの結婚の有名なアリア「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」をテーマにしてた即興演奏でした。

技巧的な短めの序奏を経て、明るく跳ねるようなアリアのテーマが展開されていきます。それは次から次へと煌びやかに奏でられ、転調を繰り返していきます。

集まっていた来賓は驚き、その技術に感嘆し、いかにも簡単そうに弾いているかのように見えるフンメルの即興演奏に酔いしれました。

 

という感じでしょうか。実際はどうだったのかはわかりませんが、即興の名手であり、ゲーテ家には頻繁に出入りし文化人たちと交流を持っていたフンメルのワイマールでの生活を考えると案外当たっているかもしれません。

 

大曲に見られるような重厚さや深刻さはなく、6分程度の楽しい音楽です。

 

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ジュピター交響曲へのオマージュ

Programming Music
Johann Nepomuk Hummel
Piano Sonata No.3 in F-minor,Op.20

  1. Allegro moderato - Adagio - Allegro agitato
  2. Adagio maestoso - attacca Finale
  3. Presto - Ancor piu presto
Computer Programming : Hummel Note
Programed by Muse Score4
Sound:GARRITAN PERSONAL ORCHESTRA 5
Re-Edit Mix & Matering:SSW10 Lite

12月5日はモーツァルトの命日です。今回はフンメルのモーツァルトへのオマージュともいうべき作品を聞いてください。

フンメルが作曲したピアノソロのためのソナタは9曲の記録があるが第7番~第9番は未出版かつ本人の曲かどうかも疑わしいとされていますので、第1番から第6番までの生前に出版された6曲ということになります。
最初期のソナタは14歳の時にロンドンに滞在中に出版されたピアノソナタ 第1番 ハ長調 Op.2a-3で、この時期に師事していたクレメンティの影響下にある、ブラブーラ書法の曲です。
第2番(変ホ長調,Op.13)は約10年後の1803年にウイーンでピアニストとして活躍していた時期に作曲され、ハイドンに献呈されました。この曲になるとしっかりした形式美と構成をもち、ウイーン趣味な装飾が施されたものになっていました。
そしてこの第3番は1807年、エステルハージ宮廷の楽長職時代に書かれましたが、この時期はコンサートピアニストとして活躍しているわけではなく、サロンやカフェでの演奏のほかは舞曲、バレエ曲と言ったオーケストラ作品や宗教音楽を量産していた時期です。
以前の曲とは全く異なり、デモーニッシュであり、ロマンチックな曲想が続く作品で、モーツァルトやハイドンとの類似性よりもベートーヴェンや後のシューベルトのような性格を持っています。古典派の楽曲には定番であるはずのアルベルティ・バス(ド・ソ・ミ・ソ)はほぼ姿を消し、絶えず変化するテンポに、強弱の交差、繰り返される転調、対位法を駆使したフレーズ、交差する両手、ピアノ協奏曲のようなスケールの大きいパッセージなど、演奏技量も高いものが要求されている楽曲です。

 

特に第3楽章はロンドや舞曲調のテーマの楽曲などではなく、激しい3連符が作り出す高低幅の広いパッセージから始まります。とても情熱的である冒頭部が落ち着くと一転して対極にあるような天使のメロディーが始まります。このギャップは聞くも者をとらえるのに充分な魔力を持っています。そしてなにより、この天使のテーマがこの楽章を有名にしている要因ともなっている、モーツァルトのジュピター交響曲からの引用です。これは似せているではなく、完全にジュピター交響曲へのオマージュです。ヘ短調に始まり変イ長調、イ長調、ヘ長調と転調して締めくくられます。

 

 

この曲は平時のフンメルの作り方や構成とはことなり、何かの意図をもって作曲されたと言えるでしょう。前年に出版されたベートーヴェンの「熱情ソナタ」に対抗しようという強い意志を感じてしまいます。

フンメルのピアノソナタは今や多くの録音が存在します。最後に手に入れやすいほんの一部をPICK UP

 

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Sequenced Music
J.N.Hummel: Clarinet Quartet in E-flat,WoO.5(S.79)
Programed by Hummel Note
Daw&Sequencer:SSW10 Lite & Music Pro for Windows V5
Sounds:GARRITAN PERSONAL ORCHESTRA5

 
 クラリネット四重奏曲 変ホ長調は作曲者の生前には出版されておらず、未出版作品WoO.5という番号が付与されています。研究科のザックス通し番号ではS.78。1808年に作曲されました。

 

 この時期はやはりベートーヴェンがウイーンの話題を独り占めにするくらいの勢いがありました。

 

 1806年の3曲の弦楽四重奏曲「ラズモフスキー」を完成させ、1807年にはフンメルといざこざのきっかけとなったミサ曲,Op86が初演され、1808年は、交響曲第5番ハ短調op.67〈運命〉、交響曲第6番ヘ長調op.68「田園」(1807~1808)、ピアノ三重奏曲第5番ニ長調op.79-1「幽霊」、ピアノ・合唱・管弦楽のための幻想曲ハ短調op.80などの名曲が大量に生み出された時期です。
 
 一方フンメルはハイドンの後継者としてエルテルハージ家に仕えており、この時期はピアノ曲よりも、宮廷学長としての仕事であるミサ曲等の宗教音楽がメインで、その他はウイーンのアポロザールのための舞曲やパントマイム音楽、バレエ曲などが大量に生み出されていた時期でした。
 そんな中で1808年の作品リストを見るとポツンと唐突に3曲の弦楽四重奏曲とこのクラリネット四重奏曲が異彩を放っています。3曲の弦楽四重奏曲は出版されたのが1808年であって、作曲されたのは1804年ころとされています。実はベートーヴェンの弦楽四重奏曲「ラズモヌスキー」の出版に触発されて出版されたといわれています。

 

 そしてクラリネット四重奏曲は、フンメルが書いたソロ管楽器と弦楽器の組み合わせによる唯一の楽曲です。ピアノとフルート、ギター、マンドリン他、ピアノを伴う室内楽は多いですが、このジャンルは唯一のものです。

 

 

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00:06 - 1.Allegro Moderato
 第1楽章(Allegro Moderato)は弦が静かに主題を奏でるとそれに応えるかのようにクラリネットが入ってくる導入部。一聴するとモーツァルトのクラリネット五重奏へのオマージュかと思わせますが、その後の展開はどちらかというとベートーヴェンのラブモフスキー四重奏曲やハイドンの後期の弦楽四重奏に近いという感想を持ちます。

 

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10:55 - 2.La Seccatura - Allegro molto
 第2楽章(La Seccatura - Allegro molto)はスケルツォなのですが「La Seccatura」というタイトルがつけられています。これは「迷惑」とか「煩わしさ」といった意味です。
 なぜなら各楽器の拍子がバラバラで、クラリネットが2/4、ヴァイオリンが12/8、ヴィオラが3/4、チェロが6/8となっています。しかも途中で拍子が変わったりします。これは演奏者にとっては「演奏しにくい」、「譜読みしずらい」→「煩わしい」音楽 ということでしょうか。

 

「迷惑」とか「煩わしさ」という訳をしましたが、【室内楽の聴譜奏ノート】という演奏者側からの視点や解釈をつづられたmusique vcemouluさんのブログにもこの曲が取り上げられており、全楽章の解説をされていてとても参考になりました。そこでmusique vcemouluさんは「La Seccatura」というタイトルを「気苦労」と訳されています。

 

 私は伊語はわかりませんので、こちらの方が正解なのかもしれません。

 

musique vcemouluさんの記事

 

 しかし、私はこれをあえて「煩わしさ」としたい理由があります。

 

 

 この楽章を打ち込むときは、譜面ソフト側では拍子がバラバラのものも作ることができますが、私は譜面作成を目的としているわけではなく、DTMの打込のインターフェースとして楽譜ソフトを使用していますので、「さて?」となってしまいました。
 ただこの楽章全体を通してどのパートも6/8に置き換えられることに気が付いて、チェロパートの6/8を基本ベースにして、他のパートの音符を置き換えていきました。(下図)
 
cla101_008-vert
 煩わしい・・・・(笑)

 

 それよりも大変だったのが打ち込んだ後のDawでの編集です。細かなことは書けませんが、譜面打込にトータル12時間だとすると、編集して音源として完成させるのには60時間くらいかかっております(^▽^;)

 

※実際は1日2時間程度しか作業できないので日数では第2楽章だけで1か月くらいですかね。

 

 まったくもって「煩わしい」曲でした。

 

 

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18:08 - 3.Andante

 

 第3楽章(Andante)はこの曲の一番落ち着いた楽曲になっています。
 個人的にはこの楽章が最も好きです。モーツァルトのフリーメイソンの合唱曲や魔笛の中の重唱などに通じる世の中を達観した雰囲気を持っていて、ゆったり行進するようなメロディーにコード進行の変化によって色が変わっていく様はとても心に染み入ります。
 こんな打込ではなくて是非生の演奏を聴く機会がありましたら聞いてみてください。

 

 ちなみにお勧めのYouTube動画を紹介しておきますね。

 

ウイーン室内合奏団のメンバーによる日本公演(NHK)の時の放送時の映像と思われます。美しいです。

 

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24:33 - 4.Rondo - Allegretto
 終楽章(Rondo - Allegretto)はロンド形式のいかにもウイーン古典派の音楽といった楽曲です。
 テーマは落ち着いた感じでスタートしていますが、どのパートもだんだんと忙しなく動き回ってアンサンブルを形成しています。

 

 このクラリネット四重奏曲が出版されなかった理由は不明です。またこの曲がだれを想定して作られたものなのかも不明。この時期に付き合いのあったドゥカーテン・コンツェルトで共演していた奏者なのか、この時期に活躍していたドイツの名手、ハインリヒ・ヨーゼフ・ベールマンなのか、それともエステルハージ楽団に所属していた奏者を想定してなのか。私には資料がありません。

 

 
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