ロシア演奏旅行のために準備された2曲の協奏曲
このピアノとオーケストラのための作品は、Op.98の作品と共にロシアでの演奏旅行のために作曲されたと思われます。どちらもロシアの民謡をテーマにした作品であり、明るい牧歌的なテーマを扱った作品で、1820年頃作曲されたものです。フンメルがロシア方面へ演奏旅行したのは、主に1822年と1814年の二度ですが、2回目のツアーをすでに計画していたのでしょう。
🎹 1814年のロシア旅行
彼は1813年に歌手エリザベート・レッケル(Elisabeth Rockel)と結婚した後、1814年に彼女の希望でロシアやヨーロッパ各地を巡っています 。
🎼 1822年のロシア再訪
1822年には再びロシアを訪れ、演奏旅行と共に旧知の仲(ロンドンで共にクレメンティのもとで学んでいました)である作曲家でピアニストのジョン・フィールドと出会い共演しています。
このピアノとオーケストラの為の変奏曲はフルート2、ホルン2、弦楽五部のシンプルな編成で、序奏も置かれていません。前奏の和音で始まりすぐに軽やかなテーマが始められます。テーマはピアノの優雅さで発表され、 モーツァルトのピアノと管弦楽のためのロンド(K.382)と類似した雰囲気を持っています。
ヘ短調の感傷的な第3変奏を挟んでテンポの速い軽快な変奏が続きますが、第6変奏のLarghetto con espressione.は、ロマン派のピアノ曲を先取りした装飾と展開が美しい幻想的なロマンスを奏でます。テンポの速い技巧的なパッセージが続く第7変奏からカデンツァを挟んでテーマに戻って曲は終わります。
ピアノに関しては後期のフンメルらしい表情に富んだ高い演奏技術を求められるものですが、オーケストラは終始伴奏に終始しています。ただ第7変奏の終わりでは劇的な表現を見せてくれます。
このDTM・動画制作について
この曲のプログラミングはすべてDorico5でHALion Sonic7の音源を使用して作成しましたが、ピアノ音源のみGARRITANのグランドピアノを使用しています。
動画内の譜面はDoricoの再生画面で、この譜面はオリジナルの譜面とは異なっています。私は譜面制作ではなく、演奏を主眼に置いているので、テンペ指示、強弱などはかなり細かに入力しています。さらに動画内の画像はCyberLink PowerDirectorでフンメルのコンサート風景を作成させました。