【DTMクラシック】J.N.フンメル《カプリース(奇想曲)ヘ長調》Op.49 | クラシック音楽とお散歩写真のブログ

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🎼 Programming Music by Hummel Note
🎹 作曲:ヨハン・ネポムク・フンメル(Johann Nepomuk Hummel)
🖥️ DAW:Dorico Pro 5
🎧 音源:Garritan Personal Orchestra 5 / ARIA

 

 

 


🎶 楽曲概要

《カプリース ヘ長調》Op.49は、1811年頃に作曲された約10分のピアノ独奏曲。
当時、フンメルはエステルハージ家の宮廷楽長を退任し、ウィーンへ戻って創作活動を再開していた時期です。演奏会用の作品のほか、舞台音楽やダンス音楽も数多く手がけていました。
この時期の代表作には以下のような作品が同時期に含まれます:

  • パントマイム音楽《魔法の指輪》Op.46

  • バレエ音楽《ミュティレネのサッフォー》Op.68

  • ピアノ協奏曲 第1番 ハ長調 Op.44(旧Op.36)

  • ポロネーズ《気まぐれな美女》変ロ長調 Op.55

ちなみにこの《カプリース》の初版譜には、フンメル自身が女性弟子のために書いた献辞と署名が添えられていたと言われています。


🧩 曲の構成と演奏技術

この作品は中上級者向けの技術を要求します。重厚さというよりは、軽やかで均等な指運び安定したテンポ感が鍵です。
曲の構成は以下の通り:

  1. Allegro con fuoco(ヘ長調)
      → 導入のプレリュード

  2. Adagio, ma non troppo(ヘ長調)
      → 厳かな序奏部

  3. Allegro agitato(変イ長調)
      → スピード感ある主題が展開し、最後はハ長調で静かに収束

  4. Allegretto scherzando(ホ長調)
      → 中心的な部分。scherzando主題~ホ短調の中間部~scherzando再現というミニ・ロンド形式

  5. 再現部(ヘ長調)
      → Adagioが再現され、その後3.の部分がAllegro agitatoからAllgro vivaceに転じて華やかに終わります。


🎹 ペリオ版序文より:ペダル奏法の美学

今回使用した譜面はシャルル=ウィルフリッド・ド・ベリオ(Charles-Wilfrid de Beriot)による校訂版。
彼はパリ音楽院の教授であり、演奏表現におけるペダルの役割
を強調していました。
以下は、彼の序文から抜粋・要約した内容です:


✅ ペダルは「音量操作」ではない

ペダルの本質は、演奏に詩情・優雅さ・奥行きを与えることにあります。


✅ ソフトペダル(左)について

  • 楽器の構造により効果が異なる(例:弦との距離調整、フェルト挿入など)

  • 奏者の判断に委ねられる場面が多い


✅ ダンパーペダル(右)について

  • 和声的使用:管楽器や弦楽器のような音の保持を模倣

  • 旋律的使用:フレーズの繋がりを滑らかにし、メロディの輪郭を際立たせる

  • タイミングが命
     ✔ 和音を弾いた「後」に踏む
     ✔ 音が濁らないように「適切に離す」ことが重要


⚠️ 避けるべき3つの危険

  1. 音の不明瞭さ

  2. 音色の硬さ

  3. 演奏の単調さ


✅ 結びに代えて

ペダル奏法における唯一の正解は存在しません
さまざまな方法で試し、耳を頼りに自分なりの「詩情ある音」を探ることが最良のアプローチです。
「ピアノは小さなオーケストラである」
この考え方を持つことで、ペダルを「響きの知性」として使いこなす感覚が養われるでしょう。
Charles-Wilfrid de Beriot


フンメル自身も自著『ピアノ奏法の理論と実践詳論』1828年刊(1822~25) でテンポやペダルの使い方については同様なことを述べています。私はピアノ曲でのDTMではあまりペダル記号(CCホールド)を使用しないのですが、今回は譜面通りにペダル記号を使用しています。

 

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