如意棒を握りしめ、少年は空へと舞い上がった。
雲を蹴飛ばすようにして、彼はどんどんと高みへと昇っていく。
眼下には、見慣れた街並みが縮小されていく。
まるで、自分が巨人になったような錯覚すら覚えた。
「ふぅ、気持ちいいな。」
少年は深呼吸をし、広大な空を満喫する。
風を切り裂く音だけが響き、あとは静寂だけが広がっていた。
「そうね、気持ち良いわよね。この景色、飽きないでしょう?」
突然、耳元で声がした。
少年は驚き、あたりを見回す。すると、自分のすぐそばに、一人の妖精が座っていた。透き通るような青い髪と、大きな宝石のような瞳を持つ美しい妖精は、少年に向かって微笑んでいた。
「え、いつからそこに?」
少年は驚きを隠せない。妖精は肩をすくめて笑った。
「あなたが空を飛んでいるところ、ずっと見ていたのよ。面白そうだったから、一緒に飛ぼうと思って」
そう言うと、妖精はひらひらと少年のそばにやってきた。少年は少し戸惑いながらも、妖精の誘いを承諾した。
「ところで、あなたはなんていうの?」
妖精が尋ねる。
「僕は太郎。君は?」
「私はルナ。よろしくね、太郎」
ルナはそう言うと、満面の笑みを浮かべた。
二人は、雲の上を散歩するようにして、空を漂い始めた。
ルナは、様々な星や星座について教えてくれたり、空に浮かぶ雲で動物の形を作ってみたりした。
太郎は、ルナと過ごす時間が楽しくて仕方なかった。
「ルナ、どうして空を飛べるの?」
太郎は、気になっていたことを尋ねてみた。
ルナは、空を見上げながら答えた。
「私たちは、風の精なの。風に乗って、どこへでも行けるのよ。太郎も、如意棒を使えばどこへでも行けるでしょう?」
「うん。でも、ルナみたいに自由に空を飛べるのはすごいな」
太郎は感心して言った。
「太郎も、もっと練習すれば、私みたいに自由に空を飛べるようになるかもよ」
ルナはそう言うと、ウィンクをした。
二人は、いつまでもこの時間を続けたいと思った。
しかし、現実に引き戻される時がきた。
「もう、そろそろ帰らないと」
太郎は、少し寂しそうに言った。
ルナは、太郎の肩に手を置いて優しく微笑んだ。
「また、一緒に遊びましょうね。その時まで、空を飛ぶ練習をしておいてね」
ルナはそう言うと、ひらひらと雲の中に消えていった。
太郎は、如意棒を握りしめ、再び空を舞い上がった。
ルナの言葉が心に響き、彼は、これからも空を飛ぶ練習を続けていくことを決意した。