私たちが出会ったのは、大学の新歓コンパだった。
彼はサークルの新入生代表で、私はただのおとなしい部員。
初対面なのに、彼は話しかけてきてくれた。
共通の趣味が見つかり、すぐに打ち解けることができ、それからはずっと一緒にいた。
大学の図書館で一緒に勉強したり、近くの公園で弁当を食べたり、卒業旅行では一緒にヨーロッパを周ったり。私たちの関係は、友人から恋人へと自然と発展していった。
でも、どこか満たされない気持ちがあった。
「ねえ、内斗。最近、何か悩んでることある?」
ある晩、いつものように二人で夜食を食べながら、私は彼に尋ねてみた。彼はフォークを止め、窓の外をぼんやりと眺める。
「いや、別に。ただ、最近仕事が忙しくてさ」そう言って彼はごまかそうとする。
「何か言いにくいことでもあるのかな?」
私は彼の横顔を見つめながら、そう尋ねた。彼はため息をつき、ようやく口を開いた。
「実はさ、君と付き合ってて、いつも申し訳ないと思ってるんだ。もっと君を笑顔にできる自信がない。例えば、君が好きな映画を見に行ったときも、心から楽しんでいるように見えなくて…」
彼の言葉に、私は少し驚いた。
でも、同時に、彼の気持ちがようやく分かった気がした。
私はいつも、彼にもっと積極的に愛情表現をしてほしかった。
でも、彼は私のことを大切だからこそ、言葉にするのが苦手だったのかもしれない。
「内斗。私は、あなたの優しさが大好きだよ。でも、もっと素直に気持ちを伝えてほしいな。例えば、『一緒にいて楽しい』とか、『君の笑顔が好き』とか」
私は彼の手を握りしめながら、そう伝えた。
彼は私の目を見て、ゆっくりと頷いた。
私たちの関係は、そこから少しずつ変わっていった。
彼は、私に自分の気持ちを言葉で伝えるようになった。そして、私も、彼の気持ちをもっと受け止めることができるようになった。
でも、結局、私たちは再び別れを選んだ。それは、お互いを嫌いになったからではない。ただ、私たちが求めるものが、少し違っていただけなのだ。
「内斗。本当に楽しかったよ。君との思い出は、宝物だよ」
最後のデートの日、私は彼にそう伝えた。彼は私の肩を抱き、静かに頷いた。
「君も同じだよ。また会おうな」
私たちは、大人として、そして友人として、それぞれの道を歩み始めた。