鎌倉の古都、静かな路地裏に佇む小さな家で、空丸は今日も空を見上げていた。

彼の相棒は、一点の曇りもない漆黒のほうき。
それは、通販サイトで見つけたおひとり様1点限りの限定品だった。

 

「よし、今日も元気に飛ぶぞ!」

 

ほうきに跨り、空丸は今日も空へと舞い上がる。

 

鎌倉の街は、彼の眼下に広がるミニチュアのようだった。

緑豊かな山々、波打ち際の白い砂浜、そして人々の生活が織りなす風景。

空丸は、この街を鳥になった気分で自由に飛び回ることに、無上の喜びを感じていた。

 

そんなある日、空丸の元に一通の手紙が届いた。

 

それは、遠方の病院に入院している少年からの手紙だった。

少年は、愛犬に会いたいと切実に願っていた。

 

「空丸さん、僕の愛犬、ポチを病院まで連れてきてくれませんか?ポチに会うのが待ち遠しくて、毎日泣いてしまいます。」

 

少年の切実な願いに、空丸は心を打たれた。彼は、少年の家に飛んだ。

ポチは首輪をつけて外の犬小屋で寝ていた。

子犬のポチを優しく抱き上げて、笑顔でポチに話しかけた。

 

「ポチ、君を病院に連れて行くからね。頑張ろう!」

 

空丸は、ポチを胸に抱き、空へと舞い上がる。

途中、海の上を飛んだり、山の稜線を越えたりしながら、少年のいる病院を目指した。ポチは大人しく抱かれるままだった。

 

病院に着くと、少年の病室の窓から、少年の顔が見えた。

少年は、窓から顔を出して空丸とポチを探していた。

 

「ポチ!」

 

少年の声を聞き、空丸は病室の窓の前でホバリングした。

少年は、窓から手を伸ばし、ポチをぎゅっと抱きしめた。

 

「ポチに会えて嬉しい!ありがとう、空丸さん!」

 

少年の笑顔を見た瞬間、空丸の心は満たされた。

彼は、空を飛ぶことで、人々の役に立てることの喜びを改めて感じた。

 

しかし、幸せな日々も長くは続かなかった。ある日、空丸が空を飛んでいる最中、ほうきに異変を感じた。

 

「あれ、何かおかしいな…」

 

ほうきの柄にひびが入っていたのだ。彼は、ほうきを修理しようとしたが、とうとう壊れてしまった。

 

「どうしてこんなことに…」

 

空丸は、ほうきを両手で抱きしめ、悔し涙を流した。

しかし、彼はすぐに気持ちを切り替えた。

 

「新しいほうきを作ればいいんだ!」

 

彼は、古道具屋を巡り、新しいほうきの材料を探し始めた。

そして、ある日、彼は運命の出会いをする。それは、一本の不思議な木だった。

 

「この木で、新しいほうきを作ってみよう。」

 

空丸は、その木を使って、自分だけの新しいほうきを作り上げた。

新しいほうきは、前のほうきとは全く異なる、温かみのある輝きを放っていた。

 

彼は、新しいほうきを持って空へと飛び立ち、再び空を駆ける喜びを感じた。

 

「よし、これからも空を飛んで、みんなを笑顔にするぞ!」

 

そう心に誓い、僕は今日も空を飛んでいる。