「もう、この会社、耐えられない!」

 

喫茶店のテーブルを叩きながら、由美が声を荒げた。

隣に座る美咲も、頷きながら同意する。

 

「給料も安いし、仕事もきついし、もう辞めたいわ!」

 

二人の不満は尽きない。

上司の理不尽な要求、同僚との人間関係、そして、一向に改善されない労働環境。

 

「でも、今すぐ辞めるのはどうかな?」

 

そう冷静に二人の間に割って入ったのが、いつも穏やかな雰囲気の沙織だった。

 

「え、沙織さんまでそう言うの?」

 

由美は、少し驚きながらも、沙織の顔を見つめた。

 

「確かに、今の会社は完璧じゃない。でも、少し待ってほしい。」

 

沙織は、温かい紅茶を一口すすりながら、ゆっくりと話し始めた。

 

「私たち、この会社で何を学んだ?どんな経験をした?それって、無駄なものなの?」

二人の顔には、考え込む表情が浮かぶ。

 

「確かに、辛いこともあったけど、この会社でしか得られない経験もたくさんあったよね。プレゼンで緊張しながらも、大きな仕事を引き受けたこととか、チームで目標に向かって努力したこととか…」

 

沙織の言葉に、二人はハッと我に返る。

 

「それに、今の会社で得たスキルや人脈って、次の仕事にもきっと活かせると思うんだ。今すぐ辞めてしまうと、それらが無駄になってしまうかもしれない。」

 

「でも、このままじゃ精神的にやられちゃうよ…」

 

美咲は、まだ不安そうだった。

 

「それは分かる。だけど、いきなり辞めるのではなく、一度立ち止まって考えてみてほしいの。本当に今の会社を辞めることが最善の策なのか、それとも、別の解決策があるのか。転職活動を始めたり、スキルアップのために勉強したり、色々な選択肢があるはず。」

 

沙織の言葉に、二人は深く考え込む。

 

「確かに、もう少し考えてみるべきかも…」

 

由美は、少しトーンダウンして言った。

 

「そうだね。焦らずに、じっくりと自分にとって一番良い道を見つけていこう。」

 

美咲も、うなずいた。

後日、三人は再び集まった。

 

「やっぱり、もう少し頑張ってみようと思う。」

 

由美は、そう笑顔で言った。

 

「私は、とりあえず転職活動を始めようと思う。」

 

美咲も、決意を新たにした様子だ。

 

沙織は、二人の決断を心から喜んで、こう言った。

 

「みんな、よく考えたね。きっと、これからもっと良い未来が待っているよ。」

 

三人で力を合わせ、それぞれの目標に向かって進んでいくことを誓い合った。

この出来事をきっかけに、三人の友情はさらに深まった。

そして、それぞれが自分らしい道を歩み始めた。