「牛ほめ」は与太郎噺です。これもいわゆるオウム返しという部類です。
柳家の方に教わりました。
与太郎が家の褒め方や牛の褒め方を教わって、佐兵衛おじさんのところで試すけど失敗するという、そんな話です。
みそ豆に次いで私が初心者に向けて一発目に喋る落語の一つです。
この噺は子ほめなんかと違って、与太郎がおじさんのとこに行く理由が、バカだバカだと言われている人を見返すため、というなんともぼんやりした理由です。でもそれでも落語って成り立つんだからすごいです。こういう軽い話はかえってはっきり理由がありすぎなくても良いのかもしれませんね。
昔は結構与太郎のことを「この人はバカな人です。」っていうことを何度も言ってから噺に入ってましたが、あんまり言うと本編でもボケ続ける男なので、そんなに念を押さなくても、与太郎が躍動してくれるので、「バカ」というキーワードは一回くらいしか言わないようにしています。
天井は薩摩うずら木目→天井はサツマイモにうずら豆
左右の壁は砂ずり→佐兵衛のかかあは引きずり
畳は備後の五分べりで→畳は貧乏でボロボロで
お庭は総体御影造り→お庭は総体見かけ倒し
こんな間違いをするんですが、こんな言い間違いをとっさに出す与太郎は本当にバカなのかとも思っちゃいますね。
落げはおなじみの「穴が隠れて屁の用心になるでしょう。」となるわけですが、これも咄嗟にしてはやっぱり頭が良いです。
お尻の穴だから火の用心ではなくて屁の用心となるわけですが、ボケとしてもちょっとお洒落なボケですよね。
僕が小学校の先生なら三角はあげちゃいますね。
しかもこの噺はそのお洒落なボケをかまして終わるんです。
お客さんもふふふっと笑って終わるというなんとも微笑ましい噺です。
与太郎ものはこれ以外にもたくさんありますし、ネタおろし自体はいくつかしましたが、実際私がやるネタはこの牛ほめと錦の袈裟ぐらいですね。
与太郎ってあとはいろんな噺に少しずつ出てくるんですよね。
黄金の大黒なんかはほんの一回しか話を振ってもらえないので、二言、三言で終わります。
牛ほめも相当な数の落語家がやると思いますが、どれくらいの割合なんでしょうね。