今年の日本映画18作品目は、『PERFECT DAYS』です。

 

第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、役所広司が日本人俳優としては2人目となる男優賞を受賞した作品です。


今年の第96回アカデミー賞では、日本代表作品として国際長編映画賞にノミネートされました。

 

U-NEXTで550ポイントを使用しての視聴です。

 

『PERFECT DAYS』

2023年12月22日 日本・ドイツ合作 2時間4分

配給 ビターズ・エンド

監督・脚本 ヴィム・ヴェンダース

出演 役所広司、柄本時生、中野有紗、アオイ・ヤマダ、麻生祐未、石川さゆり、田中泯、三浦友和

興行収入 12億円

評価 3.5

 

 

東京スカイツリーが近くに見える浅草周辺の古びたアパートで独り暮らしをしている清掃作業員の平山。

 

毎朝薄暗いうちに起き、台所で顔を洗い、ワゴン車を運転して渋谷区内にある仕事場、公衆トイレを周ります。

 

特に劇的な何かが起きるわけでもなく、平山の過去を深く掘り下げていくわけでもありません。

 

しかしこの映画、なぜか引き込まれてしまいます。

 

私は映画を全編一度に見ることができない人間ですが、この映画は久しぶりに一気見していました。

 

判で押したような日常、行きつけの銭湯や写真店や本屋、浅草地下街の飲み屋、スナックなど同じルーティンを繰り返します。

 

誰にでもそういうルーティンというものがあって、結局行くところや食べるものはそんなに変わらないんですよね。

 

それが自分にとっての幸せだし、PERFECT DAYSだと思います。

 

そしてこの映画、全編を通して「木」がイメージになっています。

 

平山がアパートの室内で育てている木、神社境内の樹木、読み始めた本、そしてスカイツリーなどです。

 

平山の過去は明らかにされていませんが、どこか影を背負って生きているように見えます。

 

それでもこの場所で自分に与えられた仕事をこなし、そこで深く根を張っている樹木のように生きていることが感じられました。

 

それらを表現した最後の役所広司のロングショットは圧巻ですね。

 

あんな表情、やれと言われてもできるものではありません。

 

それにしても渋谷区の公衆トイレって、あんなに色々な形のものがあるんですね。

 

今度探して行ってみようと思います。

 

高速道路からは、見慣れた東京の美しい景色が次々と映し出されます。

 

私が見慣れているのは浅草ではなく新宿ですが、いつもの街並みでいつもの日常を送れていることに、改めて感謝の念を抱かずにはいられませんでした。

 

評価は3.5です。