今年7作品目の日本映画は『カラオケ行こ!』です。
こちらは2020年に発売された山和まやの漫画で、単行本が「アメトーーク」でも紹介されていたので気になっていました。
監督は山下敦弘、脚本は「逃げるは恥だが役に立つ」の野木亜紀子が担当しています。
今年1月公開の映画ですが、Netflixで早くも配信が開始されています。
『カラオケ行こ!』
2024年1月12日 1時間47分
配給 KADOKAWA
監督 山下敦弘 脚本 野木亜紀子
原作 山和まや「カラオケ行こ!」
出演 齋藤潤、綾野剛、芳根京子、八木美樹、橋本じゅん、やべきょうすけ、吉永秀平、チャンス大城、ヒコロヒー、坂井真紀、加藤雅也、北村一輝
評価 3.0
あらすじを簡単に説明すると、中学3年生の岡聡実(齋藤潤)と四代目祭林組若頭補佐の成田狂児(綾野剛)との奇妙な友情を描いた物語です。
狂児のいる組では年に4回カラオケ大会が開かれていて、歌ヘタ王になると組長に変な刺青を彫られます。刺青を回避するためにコーチを依頼したのが、中学生の合唱部の部長である聡実でした。
現実にはちょっとありえない設定ですが、ここがこの作品の肝です。
そしてヤクザの狂児の生い立ちや、変声期で悩んでいる聡実の部活動の様子を徐々に深く掘り下げていきます。
全体を通して狂児を含めてヤクザが優しすぎました。
一昔前なら中学3年生にお前ら呼ばわりされて、そのまま帰すヤクザはいないと思います。
でもよくよく考えてみると、中学生に暴行をするヤクザはいないことも、現代を象徴しているような気もします。
設定を中学生にしたのも絶妙ですね。
そして狂児が大好きな曲は、X JAPANの「紅」です。
「紅」は別として綾野剛の歌が上手すぎて、これではコーチいらないだろと思いました。
原作はどうか知りませんが、この映画では「時を戻すことは出来ない」というのがテーマになっているような気がします。
ソプラノパートの声が出なくなった聡実、生まれた子に狂児という名前をつけて人生が狂ったこと、それらを巻き戻すことができない映画鑑賞部のビデオデッキが象徴していました。
ヤクザの世界でも中学生の世界でも、同じように時は流れていくもので、もう戻すことはできないという哀愁を感じます。
それから聡実の合唱部の同級生、中川さんを演じた八木美樹が凄く良かったですね。
この映画の舞台は大阪、彼女は大阪の出身らしいのでそれで選ばれたどうかは知りません。
ですが、ほんわかした大阪弁でああいう世話好きで大人びた中学生いるよな、と感じさせてくれます。
エンディングロールでは「紅」をリトルグリーモンスターで聴かせてくれました。
とてもほのぼとした楽しい映画で、評価は3.0です。