第30話 県大会とおよげたいやきくん

 

中学3年生にとって、テニス部の夏の大会は最後の大会となります。

 

私は内海くんとペアを組み、中学2年生の夏の大会から頭角を現し始め、茨城県の県西でも意外とその名は知れ渡っていました。

 

その夏の大会で、3年生を差し置いて2年生だった私と内海くんのペアは個人戦で県大会まで勝ち上がったのです。

 

しかし我が八千代第一中学校は、これまで団体戦で1回も県大会へ出場したことがありませんでした。

 

団体戦で県大会へ行くことが悲願であったテニス部は、何とこの年初めて県大会への出場を決めたのです。

 

私と内海くんのペアは、個人戦の県西大会で準優勝を果たし、こちらも2年連続で県大会への出場が決定しました。

 

ところがです!

 

私たちの団体戦の試合と、3年生の恒例行事である夏のキャンプファイアーの日程がかぶってしまったのです。

 

夏のキャンプファイアーは、修学旅行と並んで3年生にとって一大イベントです。

 

これに参加しないわけにはいきません。

 

2年生と1年生だけで団体戦に参加することも可能でしたが、さすがにエースチームと3年生が不在では県大会で試合になるわけもありません。

 

そんなことをしたら、県西大会で敗退した他の学校にも失礼に当たります。

 

テニス部の顧問の先生と相談し、初日のオリエンテーションは諦めて、その日の夕方からキャンプに合流するという形で何とか両方への参加が可能となりました。

 

 

こちらは実際に県大会を行った、水戸市の市営テニスコートです。

 

ハードコートといって、セメントとアスファルトでできているのですが、普段土のクレーコートでしかプレイしていないので、慣れるまでが大変なのです。

 

そしてキャンプファイアーが行われる場所は、茨城県の日立市の山奥でした。

 

朝から私たちは送迎のバスに乗って、水戸市に直行しました。

 

そして何と1回戦、2回戦と勝ち上がり、ベスト8まで進出したのです。

 

惜しくもそこで敗れはしましたが、初出場の割には大健闘でした。

 

時計を見ると、すでに午後の3時を回っています。

 

私たち3年生5人は、顧問の先生らの車2台に別れて乗車し、急いで日立市のキャンプ場へ向かいました。

 

キャンプ場ではすでにテントも張り終わっており、夕食の準備も終わっていました。

 

しかしキャンプの醍醐味と言えば、何と言ってもキャンプ・ファイアーです。

 

 

大きな炎を中央に囲んで円を組み、私たち3年生は全員で手をつないで大合唱をしました。

 

歌ったのは、当時大ヒットしていた「およげたいやきくん」です。

 

この歌詞が、受験を控えた中学3年生の複雑な心境とリンクし、とても素敵な思い出として心に残っています。

 

 

そしてキャンプ場までわざわざ私たちを連れてきてくれた顧問の先生らに、大いに感謝しました。

 

それと同時に、私たち中学3年生は、テニス部の部活動ともお別れすることになるのです。

 

こうして私の栄光に満ちた中学3年間は、幕を閉じることになりました。

 

2日続けてオカンとオトンが全く出て来てないけどね・・・。

 

明日は出てきます。

 

第32話「卒業式と答辞」へつづく。