韓国映画通算104作品目は『バーニング 劇場版』です。
「ペパーミント・キャンディー」「オアシス」のイ・チャンドン監督の最新作です。
村上春樹の短編小説「納屋を焼く」を原作としており、第71回カンヌ国際映画祭ではパルム・ドールを争い、第91回アカデミー賞外国語映画賞には韓国代表作として出品されました。
きちんと探してみたらU-NEXTで見放題配信されており、やっと視聴することができました。
『バーニング 劇場版』
2018年5月17日 日本・2019年2月1日 2時間28分
配給 CGVアートハウス
監督 イ・チャンドン
原作 村上春樹「納屋を焼く」
出演 ユ・アイン、スティーヴン・ユァン、チョン・ジョンソ、チェ・スンホ、ムン・ソングン
評価 3.5
主演のイ・ジョンスに当時31歳のユ・アイン、映画は4作品目となります。
謎の男性ベンに当時34歳のスティーヴン・ユァン、この方どこかで見た顔だなと思ったら「ウォーキング・デッド」の初期からの主要メンバーだったグレンではありませんか。
マギーの夫でニーガンにバットで頭を殴られ死んだ、韓国系アメリカ人を演じていました。
そしてシン・ヘミには当時23歳のチョン・ジョンソ、この映画が彼女のデビュー作品でした。
その後の「ザ・コール」「バレリーナ」ドラマ「ペーパー・ハウス・コリア」と、私は結構な頻度で見ている女優さんです。
この映画では大胆なヌードも披露していて、正に体当たりの熱演でした。
村上春樹の「納屋を焼く」も読んだことがないし、何の前情報もなく見始めましたが、すぐに映画の世界に引きずり込まれました。
イ・チャンドン監督は、街中の風景とかその人の目線で追っていく独特な映像が特徴的ですね。
そしてユ・アインとチョン・ジョンソの2人がとても魅力的で、この後どうなるのかというワクワク感がずっと続いていく作品です。
最初はヘミのパントマイムの「みかん」から始まって、いるのかいないのかわからない「猫」、ヘミの思い出話に出てくる「井戸」、そして2か月に1回ベンが焼いているという「ビニールハウス」。
この映画はそのすべてが明らかにされていないし、解決されていません。
そして突然ヘミが姿を消し、それ以降は最後までどうなったのかさえわからないのです。
正に現実と幻想が並立したような感じで、何が本当で何が現実なのかさえわからなくなります。
ヘミは本当にジョンスの幼馴染だったのか?
ヘミの部屋で飼っていた猫は本当にいたのか?
ベンは本当に2か月周期でビニールハウスを燃やしていたのか?
そしてベンは本当にヘミを殺害してしまったのか?
この映画を見て思い出したのが、ナ・ホンジン監督の「哭声/コクソン」でした。
目に映っているものだけは確かに事実なんだけど、後は全て自分の憶測や妄想でしかなく、勝手な思い込みにすぎないのではないか?
原作の内容は知らないけど、その小説の意味を現代の韓国に生きる若者を通して、見事に表現されていると思いました。
評価は3.5です。