いよいよ看護師国家試験が近づいてきました。
今年の受験生たちは一年生・二年生の頃から関わってきた学生たちです。
長い時間をかけて見守ってきた分、それぞれの成長を感じる一方で、どうしても心配な気持ちが拭えません。
この学年では、一年生から二年生、そして三年生へと進級する中で、残念ながら落第してしまった学生も少なくありません。
さらに、今まであまり見られなかったような、授業態度が荒れた学生が3、4人いたことも気になっています。
彼らが医療の現場に立つとき、患者さんと真摯に向き合えるのかどうか——そんな不安がよぎります。
国家試験は、しっかりと勉強すれば合格できるものです。
しかし、試験に受かることと、実際に看護師として働くことは別の話です。
看護の仕事は決して楽なものではなく、単なる技術職でもありません。
給与が良いからという理由で看護師を目指す学生も増えていますが、現場の厳しさを知らずに入職し、
結局持たずに辞めてしまう人も多いのが現実です。
最近は、退職代行業を利用して辞めていく新人看護師も珍しくなくなりました。
職場の環境や人間関係の問題もあるかもしれませんが、根本的に「働くこと」に対する覚悟や責任感が希薄になっているのではないかと感じることもあります。これは学校の教育だけで解決できる問題ではありませんが、基本的な姿勢や心構えをどこまで伝えられているのか、指導者として自問する日々です。
もちろん、現場に出て初めて気づくこともたくさんあります。最初は未熟でも、患者さんと関わることで、プロ意識が芽生えることもあるでしょう。しかし、せっかく頑張って看護師になったのに、すぐに心が折れてしまうのは悲しいことです。
実際に毎年毎年卒業生を結構出しても、万年人不足になっているのが現状です。
看護は、人の命と向き合う尊い仕事です。技術や知識だけでなく、思いやりや責任感がなければ、続けていくのは難しいでしょう。だからこそ、これから国家試験を受ける皆さんには、目の前の試験だけでなく、その先の現場でどのように働いていくのかを、今一度考えてほしいと願っています。
皆さんが、患者さんに寄り添える看護師になれるよう、心から応援しています。