ある会社で後輩を指導する立場にある人に対する研修を担当しています。
技術系の会社で1年目から様々な技術研修が組まれています。
その合間に、技術以外のリーダーシップやマネジメントに関する教育を行っています。
今回は指導力の基礎に的を絞った研修プログラムを使い、講義50%とロープレ50%の割合で実施しています。
数年前のように、合宿研修で研修時間がたっぷりあればじっくり各研修項目を掘り下げることができます。
しかし、今は限られた時間の中で最大限の成果を求められています。
こちらの会社も8年前に一泊二日で行っていた研修を今では4時間30分に短縮して行っています。
そのため、内容を圧縮して行っているため、冗談を言っている時間もありません。
その研修中の一コマです。
事前課題として「今まで上司から誉められたことで一番印象に残っていることを記してください」と与えました。
送られた来たPDFを確認すると他のメンバーは大なり小なり記載がありました。
Fさんだけ空白でした。
研修前はこちらからコンタクトが取れません。
いざ、研修当日になりました。Fさんの言動観察を行いました。
比較的反応が良く、グループワークでは中心的人物でした。
そして、本題の「誉める」がテーマの時間です。
導入の時間に事前課題をグループの中で発表し、検討してもらいました。
やはりFさんは、事前課題の通りでした。
しかも、真剣な表情で実情を語っていました。
そのまま、「誉める」ロープレに突入です。
ロープレ後、受講者に誉められて何を感じたか。
また、相手を誉めてみて何を感じたか。
忘れないようにワークシートに記入し、その内容を基にグループワーク再開です。
やはり、Fさんのことが気になります。
すると、Fさん「誉められた経験がないけど、誉められるととてもうれしかった」とニコニコしながら語っていました。
安心しました。
他のメンバーからも「照れくさかった」「こんなところまで観てもらっていたことに驚いた」などの声が出ていました。
「誉める」には、心理学でいうところの「存在認知」の働きがあります。
すなわち、誉められた人は自分の存在を「認められた」「知ってもらっている」と感じ安心します。
Fさんの表情が一変して、意気揚々とそれ以降の研修に取り組んでいました。
今後が楽しみと感じた瞬間でした。
