十数年にわたり社員教育を担当させていただいている会社があります。
以前、某地方支社の全社員の研修を行うことになりました。
当初、研修の依頼をいただき打合せの段階では係長クラスから研修を始める予定でした。
実はこの流れはよくあるパターンなんです。
研修を企画するのは普通の場合、総務か人事の部長・課長スクラスです。
先ずは、自分たちより下位の職位の人たちに研修を受講させていろいろな意味で様子を見るんです。
それから、更に下位の一般職を順番に研修し、最後に上層部の研修を行うパターンです。
この時もその流れになるはずでした。
しかし、支社のトップである支社長が事前打ち合わせに同席しました。
本社で何回かお会いしたことのある方で私とは面識がありました。
そこで、ダメもとで「全社員研修するなら、トップダウンですよ」と投げてみました。
同席していた総務課長はギョッとした表情でこちらを見ていました。
すると、「じゃ、僕たち幹部からやるか」と支社長が英断しました。
その瞬間、総務課長がとても嫌そうな顔をしていたことが忘れられません。
通常、総務課長は事務局としてオブザーバーとしての参加でした。
しかし、支社長が受講者として参加するのに総務課長がオブザーバーはあり得ません。
2日間の合宿研修でしたが、朝6時から朝礼と全速力の散歩訓練を行いました。
皆さんヒーヒー言いながら頑張っていました。
朝礼で一人一人に1分間スピーチをしてもらいました。
参加者全員が納得できる声の大きさでない人は受講者の総意でやり直しをしてもらいました。
皆さん、本気のスピーチを朝から行っていました。
支社長も部下に駄目だしされないように顔を真っ赤にして決意を語っていました。
「周りを変えるために、先ずは自分から変わります」と本気でした。
幹部の研修の後、課長職、係長、主任、リーダークラス、一般職と1年近くかけて一巡しました。
結果として、この流れが大正解でした。
支社長の意識が変わり、行動が変わりました。
部下も追従して変化しました。
事務所を何回か訪問しました。
一番変わったと感じたのは、やはり皆さんの挨拶の声と明るさでした。
次に目に見えて現れていたのが、机上の整理と室内の整頓でした。
些細なことですが、一事が万事です。
営業成績にも変化がありました。
きっかけは、支社長のトップダウンでした。

