1992年、私はある決意をして転職しました。

 

その転職先の会社はとても奇妙な会社でした。

 

当時はバブルがはじけた直後で、世の中はとても暗い雰囲気が漂っていました。

 

転職先の会社はメディアにかなり露出していましたので、その会社の表面上のことはよく知っていました。

 

しかし、内情までは知る由もありませんでした。

 

13日間の合宿訓練に参加することが入社試験でした。

 

無事に13日目に修了し、事務所に挨拶に行きました。

 

意気揚々と「これからお世話になります」と言うと「私は今日で退職だけど、頑張ってね」と年配の方に言われたことが印象的でした。

 

翌日から入社オリエンテーションと社内研修が始まりました。

 

約2週間社内研修が続きましたが、ほぼ毎日違う方が講師として指導してくれました。

 

講師の方はとても懇切丁寧なご指導でした。

 

しかし、数人の方が「私はこの会社を辞めるけど、頑張ってね」と別れ際に言われました。

 

新人だったので、最初はそのような会社なのかくらいにしか思っていませんでした。

 

しかし、日数の経過とともに異常さに驚きました。

 

ある時、昨日まで課長職で組織をまとめていた上司が、本社からの辞令がおりて一般社員の一番下の社内の階級に降格になりました。

 

私は見習社員という立ち位置でした。

 

課長職は見習社員から数えると10階級上でした。

 

在籍中、かなりの頻度でこんなことが続きました。

 

入社して5年目の時、私にも恐怖(?)の辞令がおりました。

 

全体集会の様な場面で突然のことでした。

 

その時は下から3番目の階級でした。しかし、辞令にはその階級から4階級の飛び級の階級が記されていました。

 

5年から6年前に入社していた先輩たちをごぼう抜きしてしまいました。

 

役職も係長待遇となりました。

 

いま振り返ってみると、違う意味で「山登り」と「筏下り」が私を含めて周囲で繰り返されていました。

 

入社しないとわからないことでしたが、この会社はバブル景気の最盛期に證券会社が入って上場準備室まで開設され、上場寸前までいっていたそうです。

 

景気の衰退とともに会社の経営も微妙になったようです。

 

冷静に振り返ると、私も含めてこの会社を退職していった人の中には同業で独立している方は多くいます。

 

文字通り「山登り」真っ只中の先輩や後輩と感じています。

 

実はこの会社、企業の人材を育成する会社です。

 

在籍して強く感じたことに、自社の社員をきちんと教育出来ないのに他社の社員さんを教育している奇妙な会社でした。

 

人材育成を生業として行っている会社でも、勤務している社員さんは「筏下り」の方がほとんどです。

 

しかし、研修の場面では会社に流されている「筏下り」している研修講師に、目標を持ちましょうと「山登り」するように指導されています。

 

何だか意味不明です。

 

本音を言うと、人材育成を行っている会社が一番人材育成が出来ていないのが実情かもしれません。