人材育成に関する仕事に長年携わっていると、「エッ」と思うような会社にでくわすことがあります。

 

新聞やテレビでも紹介されてたいましたが、単年度の利益を必要分以外はお客様に全て還元する会社。

 

社長を公募制にした会社や、社長を社内の投票で決める会社なども過去には存在していました。

 

悲しいことに、結果はいずれも思わしくないことになっています。

 

そんな中に会って、社員さんが独立することを大歓迎している会社がありました。

 

この話は一般論ではなく、その会社の社員教育を担当させていただいておりましたので許される範囲でお伝えいたします。

 

研修を担当するきっかけは、その会社の顧問を務めていた知り合いからの紹介でした。

 

研修の打ち合わせのために、本社を訪問しました。

 

社長や役員とお話をすると、「社員が独立することをフルサポートしています」と意気揚々と語っておられました。

 

話を聞いていると、「こんな会社が世の中に存在しているんだ」と感心しました。

 

一番驚いたのが、主に休日の土曜日に独立を目指す方向けに社内勉強会を開催している事でした。

 

しかも、社内講師だけでなく専門家を講師として招いて本格的にカリキュラムが組まれていました。

 

ある回は、税理士を講師として招き税務面の申告や節税対策に関する講義を行っていました。

 

創業して10年に満たない会社で、会社自体の歴史がないことと、社員さんの多くが20代の若手中心でした。

 

私が担当する領域の研修は階層別の研修なので該当年次の方は全員参加でしたが、土曜日の勉強会は自由参加でした。

 

しかも、個人の費用負担は一切なく全て会社負担で行われていました。

 

少し、興味がありましたので、研修に行くたびに土曜日の勉強会のことを受講者に質問してみました。

 

参加している人は何年以内に独立するという明確な目標設定があり、意気揚々と質問に答えてくれました。

 

文字通り、世の中や会社に流される「筏下り」ではありませんでした。

 

目指すべき登る山が明確になっている「山登り」の心構えが出来ていました。

 

初めは、社内や社外に対するデモンストレーションの一環かと思いましたが、社長も役員も参加している社員さんもみなさん本気でした。

 

失礼を承知で、食事会の席で社長にストレートに「本当に社員さんが独立して大丈夫なんですか」と聞く機会がありました。

 

すると、社員さんたち以上に熱く社長が語り始めました。

 

要約すると、様々な理由で参加者全員が独立できるわけではないとの事。

 

しかし、個人事業主になったり会社を立ち上げるプロセスや運営方法を学ぶことは、文字通り一人一人の財産になるとのこと。

 

「うちの会社は人材ではなく、人財と定義づけています」と語っておられました。

 

会社がバックアップして、「筏下り」を終わらせて「山登り」を始めさせる会社、改めて視野・視点の違いを思い知らされました。

 

独立する、独立しないは別にして確実に社員さん一人一人の意識・意欲・マネジメント能力が高くなることに変わりありません。