今も過去が始まっている
ズキン。
心が音を立てて鳴いた。
その事に誰でもない俺自身が一番驚いた。
それもその筈、心の音なんて自分にしか感じられなくて、キミには聞こえてないだろう。
ドクドクと血が流れる血管を針でつついて、流れを止めただけだ。
いや。かき混ぜたが、正しいか。俺にも自分の身に何が起こったのか理解できない。
何しろ動転している。キミの言葉に、行動に。
幻滅なんてしてない。ハナから幻想でしかないのだから。自分の意識の中で作り上げた仮初めの実体だっただけだ。
幻滅は言い訳。
自分の理意識。振りかざすものでもない。
でも俺は言ってしまった。
ズキンて心が言ったよ、と。キミのその反応は当然だよな。
至極当然。俺さえ理解ってなかったのだから。
でも俺は言ったよな。
もしかしたら、自分が気づかないだけで、恋してたのかもしれない、と。
そう気づいてしまった時には、もう心が泣いてたんだ。
もう止まらない、と。
だから俺は聞いたよな。
後悔してなければいい。間違ってないと思えればいい。
でもキミは何を感じたのか、と。
言いたくないこと言わせて、勝手に傷ついてりゃ、世話ないよな。
でもやっぱり俺は俺のままでいたいし、変われない部分もたくさんあるし、そんな自分が好きだって思える瞬間が凄く好きだ。
小さいな俺。
ちっぽけだ。
全て包み込めるような、そんな奴になりたい。
でも今は、自分の目から零れるものさえ拭えないから、少しだけ待ってて。
だって、今を含め全てが過去になる。
心が泣いた瞬間から過去が始まる。
それなら、少しは強くなれるかな。
泣けたら泣いていいよな。
泣くだけ泣けばいいよな。
ちっぽけだな。
泣くなんて。
矛盾してないかな。
泣くなんて。
でも、それでも気づけたからそれでいいや。
恋してんだって
思えたからそれでいいや。
チクチクと針の痛みを感じながらも、
時計の針はチクチクと進んでる。
今も過去が過ぎてる。
痛いな。
凄く痛い。
ありきたりな表現でも伝わる言葉ならそれでいいや。
考えたって、もうしょうがねぇや。
大好きです。
前から言ってるけど、初めて知ったよ。
凄く大好きだと。
ありふれた時間の中で、限られた時間を濃密に、彩ることができるように。
時計は針の動きを止めない。
心が泣いた夜、
初めて気づけました。