みなさんこんばんはユマニテ会 ゆにっちです。ニコニコ

昨日はユマニテ会でした。

今回はギリシャ悲劇「メーデイア」よりです。 長編なので早速本題へ

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主人公イアーソンは王になるはずであったが、伯父にその地位を奪われていた。

伯父は「コルキスに行き金羊毛をとってきたら王位を譲る」と約束する。

アルゴ号に有志を50人ほどのせて旅にでます。←このお話はアルゴ号の冒険だそうです。


旅から帰ると、ペリアース王は自分の父の王を殺していた。メデイアに頼んで復讐する。

復讐は遂げるが、結局イアーソンは王になれず、コリントスへ行く。


イアーソンとメデイアは2人でコリントスにいって幸せに暮らしていた。子供も2人もうけた。


ところがコリントスの王クレオンの勧めで、王の娘と婚約する。


彼には愛や感謝の気持ちが少しもない。野心をむき出すばかり。

しかもクレオン王はメディアを追放しようとする。


恐ろしい恋をするのも、よい恋をするのもただイアーソンのためだけだった。

メディアの愛情が毒々しい憎悪に変わっていった。

(かなり省略しているのですがここまでが準備の話で、ここからがメデイアだそうです)

紀元前431年に上映されました。


メデイアの乳母がため息をついていた。

「あーお気の毒な奥様。もしアルゴー船が暗礁にぶつかって途中で砕けてコルキスまでいかなかったら

どんなに奥様の人生は幸せだったでしょう。」


黒海の果てコルキスで二人は出会った。コルキスではメデイアの助けにより、数々の試練を乗り切り、

金の羊毛を手にいれる。黒い瞳のメデイアはギリシャのどんな女より美しかった。

二人は激しい恋におちた。(しかし今裏切られてしまった)


メデイアはギリシャの掟では、単なる現地妻にすぎない。

ギリシャの掟ではそうだったかもしれないけれど

しかし、あれほど愛してくれて、命がけで助けてくれたメデイアを捨てることは、

ギリシャの掟よりももっと高い掟を犯していた。

そう乳母は言った。


メデイアを気の毒がって周りの女性たちがあつまってくる。


メデイア「生きていても嬉しいことなんか一つもありません。

私にとって全世界にも等しかった人 私の夫 

男の中で最もみさげはてた人となってしまったのですから。

心と魂をもつ者の中で一番みじめなのは女です。あなた方は実家も近くて頼りになる人もいる。

しかし私は異国の地でたった一人。しかも夫にないがしろにされている。

女は弱虫で、刀の光をみるだけで怖気づいている。でも愛を裏切った人に対しては、

どんな敵にもまして、恐ろしい仇となるのです」

という。女たちはそれを聞いて身につまされるものを感じた。


「メデイアに対する不実、それは全ギリシャの恥ではないか」と女たちはいった。

やがてそこにイアーソンがやってきて、身勝手な言い訳をします。


「男らしくない人、あなたのために私は父を裏切り、あなたの仕事を成功させました。

あなたを無事逃す為に、弟を殺しました。愛の為に全てを犠牲にして、故郷を捨てて、

あなたと一緒にギリシャの地にやってきました。あなたの為にペリーアス王も殺しました。

いまや世界中が敵だらけになりました。いったいどこに助けを求めたらよいのでしょうか。

そんな私をあなたは恩知らずにも捨てて、他の女に乗りかえるのですね。

ああ、ゼウス(神の1番偉い人)よ。

どうして男の顔には貨幣のようにその値打ちが刻まれていないのでしょうか。」


イアーソン「お前はただ私に対する一途な恋から全てをやっただけだよ。おまえとしてはそうせざろうえなかっただけだよ」その場を去る。

イアーソンはクレオン王の娘をめとって、自分の位をあげてもらおうと思った。


メデイアはその王の娘を殺そうと思った。そこで毒をしこんだ花嫁衣装を贈ります。

やがてその衣装が火を噴きます。はがそうとしてはがれない。

王女は死に、それを抱きかかえたクレオン王も亡くなる。


復讐の最後として、イアーソンの血を受け継いでいる子供を殺す。


そうするのが、それは自分にとっても苦しいことだけど、それ以上夫を苦しめることはない。

心の葛藤がある。こんなことしてはいけない・・・お前たちを育てたこともすっかり無駄になってしまった。生みの苦しみに耐えて、身を削ってお前たちを育てたのに・・・ どうしてそんなににっこり笑うの これが最後だというのに。メデイアはどうすればよいのがすごく悩む。子供らを犠牲にして、その何倍も自分も苦しんで、そんなことをする必要がどこにあるのか?でもやらねばならぬ。私がどんなにひどいことをしようかということはよくわかっている。わかっているけれども湧き上がる怒りをおさえれない。この湧き上がる怒りが人間に不幸をもたらすことはよくわかっているけれども、、、、 心の葛藤の末に子供を殺す。


怒り狂ったイアーソンがやってくる。

「みたされぬ愛ゆえに その子らを亡きものにした、かかる所業は

かつてギリシャの女はしたことがない。わしはお前のようなシシリーの怪物のような、

荒々しい気性のお前を妻として迎えて、災いのもとを作ってしまった。」


あなたは私との縁を踏みにじり 私を笑いながら、自分だけは楽しい生活をなさろうとした。そんなうますぎる話しがありますか」


「そういうお前だってやはり、悲しいはず、不幸なはずだ」


「よろこんで苦しみますのよ。あなたにあざけられさえしなければ」


イアーソン「ああ、愛し子よ」

メデイア「今更、、生きている時は全く可愛がってくれなかったのに、、、、私にとっても愛し子です」

「ではなぜ殺すのだ」

「あなたを苦しめるため。」

そういってメデイアは、竜がひく車にのって去っていく。


残されたイアーソン ただ一人多くの国々をさまよった。

ある国ではパンのかけらを恵んでくれた、ある国では笑い者にされ石をなげつけられた。

最後には自分の故郷イオールコスに戻ってきた。本来ならこの国の王足るべき人です。それが一介の見知らぬよそ者として戻ってきた。不思議な衝動に駆られて浜辺にいくと、かつては輝くばかりに美しかったアルゴー船が半分砂にうもれてそこにあった。


イアーソンは船の中に住み、数年数年生き延びました。

ある夜、梁が落ちてきて、イアーソンの頭に激突して最後を迎えます。

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ギリシャ悲劇は、重たいけれど、年をとればとるほど、

「人生とは何ぞや」ということを考える良き作品です。


紀元前431年のアテネ  男たちはこの劇を見に行った。

この話が上演された時、女たちは劇場に入ることを禁じられていた。男たちはほっとしたでしょうね。(笑)


利己的なイアーソンは次々に自分の醜い正体を現わしていく。男たちは居心地がわるかった、

そして家に残してきたメデイアを思い出し、身震いしたでしょう。


審査員は(全て男)この作品を最低最悪なものとして評価しました。


でも現在では最高の名作です。


メデイアは魔女だったかもしれません。気が狂っていたかもしれません。でも女性だったらわかるでしょう。 

彼女は男たちが聞きたくはないということを全部いってのけました。


ちなみにメデイアに関する本当の伝説は違うんです。(これはエウリピデースの創作)

本当は、メデイアは子供を殺さなかった。ほっとしたでしょ。


クレオン王の王位をめぐる闘争の中で、メデイアは確かにクレオン王を殺す。

命からがら逃げる途中、ゼウスの妻 ヘラーの神殿に子供を預ける。ここなら聖域だから子供を殺さないと思った。ところがクレオン王の追手は神殿で人を殺した(←聖域で人を殺すことはあってはならないこと)

自分たちが殺したということを隠すために、メデイアが殺したということにした。


エウリーピデースはこの伝説を知っていた。

「このうわさがうそのうわさではなくて、本当だとしてみよう。本当にメデイアが子供を殺したとしよう」

そう設定した。 


どのような母親だったらそのようなことができるのだろう。

そしてまた、なぜそのようなことをしたのか。


そうしてその問いに対する答えがこのメデイアであったそうです。

難しくてでも深みのあるお話です。

またこの作品は劇だから読みにくい。

「ギリシャ悲劇物語」は読みやすいそうです。(白水社出版)