何故か、台湾にて -36ページ目

何故か、台湾にて

気がついたら台湾にいました。

ところてんのように生きています。

台湾に来て一年半

中国語の語学学校で友達になった人は

ほとんど祖国に帰ってしまいました。


昨日は、初級から一緒に勉強した

韓国人の男友達とご飯を食べに行きました。

彼も来週、韓国に帰るそうです。







初級クラスのときは、何も話せなかった。

でも今は、なんかしら話せる。


細かいニュアンスとかは抜きにして

言いたいことは、大体、伝わる。


ただ、台湾人が聞いたら、ひどい会話だと思う。




「韓国人って夜頭を洗わずに

 朝洗うって聞いたことがある。」


「そういう人もいるけど、自分は夜も洗うよ。

 自分は毎日、この、あの、ネバネバのアレを頭につけてるから

 寝るとき、あの、頭の下にある、アレが汚くなるでしょ。」


「あぁ、あの、頭の下の、アレね。

 なんだっけ、勉強したはずなんだけど…まぁいっか。」


「うん。寝るとき必要なアレ。わかるならいいや。」




「韓国の家は床が暖かいから

 冬でも家の中じゃ半袖だったよ。

 でもそうするとお母さんが怒って、床のスイッチを切るんだ。

 でも、床が暖かくて半袖っていうのが一番いいんだよ。」


「あぁ、わかるかも、夏の暑い夜も

 クーラーつけて、アレ、アレをかけて寝るのが気持ちいいよね。

 あの、寝るときかける、あの、大きい布。」


「あぁ、アレね。寝るとき必要なアレ、その2。」


「そうそう、ベッドの上には、その1とその2がある。」




まるで卑猥な言葉を隠すかのように

遠まわしに言い続ける。

ただ、それでも一応、伝わっている。


初級のとき、話すたびに意味不明で

お互い頭を抱えていたのも、今となってはいい思い出。



帰り際、握手をして別れた。

なんて言ったらいいのかわからないので

「元気でねー」と日本語で言った。


彼は日本語で

「ン?ゲンキデス」と返してくれた。


どうかいつまでもお元気で。







ここしばらく、中国語の勉強をお休みしていたので

そろそろ再開しようと思います。


せめて布団と枕ぐらいは言えた方がいいです。

「誰か」と「誰が」

「何か」と「何が」

「いつか」と「いつが」

などなど


なんともわかりにくい、「か」と「が」の違い。

説明するのも一苦労です。


開き直って

「もう、同じ同じ!大体、同じ!」

と言ってしまいたくなります。







中国語で、「誰がいますか」というのは

「誰在里面?」

と言う。

これは日本語と大体同じ。

しかし、「誰かいますか」というのは


「有人在嗎?」


と言う。

つまり、「人がいますか?」という言い方。


なのでまずは、「誰かいますか?」というのと

「有人在嗎?」というのが、結びつくかどうか。



「トイレに入りたいです。

 中に、人がいますか?いませんか?わかりません。

 ノックをします。

 “誰かいますか?”

 “はい、います”


 このとき、“誰がいますか?”じゃありませんね。

 “誰がいますか?”

 “あ、山田です。”

 …これはちょっと変です。」


これで、わかる人はわかってくれる。

そこでもう一つ。


「部屋の中を見ます。人がいます。

 でも、後ろです。誰ですか?わかりません。

 “誰がいますか?”


 部屋の中を見ます。暗いです。

 人がいますか?いませんか?わかりません。

 “誰かいますか?”」



そして次は、「何か」と「何が」へ。


「友達が家に来ました。

 友達は、お腹がすいているかもしれません。わかりません。

 “何か食べたいですか?”


 友達と一緒にレストランへ行きました。

 レストランへ来ましたから、もちろん、食べたいですね。

 友達に聞きます。

 “何が食べたいですか?”」



そうやって、少しずつ例をあげていく。

わかる子はわかる。

わからない子はわからない。


わかる子は、わからない子に

中国語で通訳し始める。



ただ、わかったところで

使えるかどうかは、わからない。


濁音というのは、外国人にとって聞きわけも難しい。

今、「誰か」と言ったのか、「誰が」と言ったのか

それを聞きわけられなければ、なかなか感覚も掴めない。


喉元まで出かかる。


「お、同じ、大体、同じ!」







きっと、本当は、もっといい導入方法があると思います。

ありましたら、こっそり教えてください。


いや、別に、こっそりじゃなくてもいいんですけどね。

新しく、一対一の授業が入りました。

お相手は幼稚園の女の子。


この子が、なんとも

パーっとしています。


パーっとしているというのが何か、よくわかりませんが

なんか、パーっとしています。






幼稚園生にして、分厚いメガネ

彷徨う視線。


その子は、日本人の多い幼稚園に通っているらしい。

簡単な会話なら一通りできる。


毎日、幼稚園で日本語を話しているのに

どうして塾に来たのか。

それはなぜか、主任も受け付けさんも、誰もわかっていない。

もちろん本人もわかっていないだろう。


親御さんからも特に要望がないので

とりあえず、うちの塾で使っている

子供用の教科書を使って進めていくことに。



まずは、レベルチェックがてら、おしゃべり。


「何歳?」


「ろくさい」 


「動物は何が好き?」


「いぬ」


「家に犬がいる?」


「いない」



など、会話は一通り、成立する。

ただ、節々、反応に困ることがある。


「幼稚園、楽しい?」


「うん、楽しい。」


「お友達たくさんいる?」


「いない」


幼稚園が楽しいか否かと

友達の多い少ないは、関係ない。


一人の、とてもいい友達がいれば、それで楽しいだろうし

なんなら、一人でいても楽しいかもしれない。


が、私はどう反応したらいいんだろう。




「はい、じゃあこのうさぎ、色を塗ろう」


そう言って、色鉛筆を出した。


「何色がいい?」


そう言って渡すと、彼女は

せっせとお目当ての色を探した。


探し当て、手に取り、一言。


「むらさき」


そう。その色鉛筆は、紫。

よく知ってるね。


でも先生、なんだか

何かが違うような気がするな。




最後に、プリントを渡し

「これ、宿題ね」と言った。


すると彼女、無言で

首をフルフルと横に振ったのだ。


「えっ…宿題…しない?」


コクンと頷く。



今まで

「えー宿題ー?嫌だーやだやだー」

と言う子はいた。


「やだやだー」と言う子には

「はいはい、やだとか言わないの、頑張って!」

と言ってきた。


しかし、無言で首を振る子に出会ったことはなかった。


どうしたらいいのかわからず

幼稚園生相手にも関わらず、無言のプレッシャーに負け

宿題はナシにしてしまった。






分厚いレンズの奥の、彷徨う視線。

彼女はいつも、パーっとしています。


ただ、私、結構

そんな子が好きだったりします。