何故か、台湾にて -29ページ目

何故か、台湾にて

気がついたら台湾にいました。

ところてんのように生きています。

我が家はただ今、引っ越し真っ盛りです。


両親は、今週の水曜に台湾を離れます。

二週間ぐらい日本で過ごし

それから北京へ行くそうです。


私は六月いっぱい、今のところに住み

七月から違うところに住みます。


知り合いが助けてくれて

住むところが見つかったのです。

良かった。



七月から住むところは、三部屋あり、そのうちの一部屋には

知り合いの方の、お手伝いさんが住んでいます。

お手伝いさんは、フィリピン人女性だそうです。


フィリピン人。


香港に住んでいたとき

フィリピン人のお手伝いさんが、たくさんいました。

彼女達の話すタガログ語は

子供心に、不思議な呪文のように聞こえたものです。


ある日、近所の公園の滑り台を滑ると

一番下のところで、フィリピン人女性が

赤ちゃんを寝かせて、あやしていました。


ぐるりと回る滑り台なので、下が見えていなかった私。

見事に赤ちゃんに突っ込み

フィリピン人女性に怒られた覚えがあります。


今から思えば

滑り台の、滑り終えた先に、赤ちゃんを寝かせることが

ちょっと違うんじゃないかなと思います。


でも、怒られてびびっていた私は

「あいむそーりー」と言いました。



そんなこんなで、私

フィリピン人に対して、苦手意識があります。


人生初のルームメイトが、フィリピン人。

これは、苦手意識を払拭するチャンスなのかもしれません。

もしくは、更に苦手になるか。




そんな心配もありますが

そのお部屋は、とっても綺麗で立派なところです。


なんだか、話が色々、うまくいきすぎている気がします。


きっと、苦労するときは、苦労するのでしょう。

そのときはそのとき。


うまくいくときは、とりあえず

楽しもうと思います。

子供の「ごっこ遊び」というものは、すごいです。


子供の中で、そこには一つの世界ができています。

そこに連れて行かれた大人は、ただ

戸惑います。








先日も日記に書いた、うなちゃん。


人見知りがあって、最初はおとなしくしていたが

最近、本領を発揮し始めた。



うなちゃん、突然、しゃがみこみ

一心不乱に、何かを探し始めた。


「うなちゃん?どうしたの?」


と聞くと


「あった!」


と言う、うなちゃん。


何を探してたんだろう、と思うと

うなちゃん、人差し指と親指で何かを掴み

私に見せてきた。


「見て、ほら、きれいでしょ?」


しかし、人差し指と親指の間には、何もない。


「ピンク色。きらきら~」


若干、焦った私。


うなちゃんの手の中にあるものは

心の卑しい人には見えない何かなんじゃないか

と思った。


心が卑しいとは悟られたくないので

私は言った。


「ほんとだ、きれいだねー、きらきらだね」


内心、ヒヤヒヤ。


「先生は何色がいい?」


「ん?先生?じゃあ、青かな」


そして彼女はまた、地面を探し始めた。


「あった!はい、先生、青。きれいでしょ」


「わぁ、ありがとう、きれいだね~。

 うなちゃん、これ、何?」


「宝石だよ」


そうなんだ。




そして、緑や黄色、紫の宝石を探し当てたうなちゃんは

「おうちに帰る」と言いだした。


「あっ、バスが来た!」


どうやら、バスが来たらしい。

うなちゃんはバスに乗り込み

突然、「ぶぅーん」と言って、教室の中を

ぐるぐる走り始めた。


「置いて行かれる!」と焦った私も

うなちゃんの後について走った。


「着いた~」と言って、家に入って行ったうなちゃん。

宝石を持っていた左手を開き

机の上に、一つずつ置いていった。


「ピンク、青、緑、紫、黄色…」


「わぁ、たくさんあるねぇ」


「うん」



年をとると、聞こえない音が出てくるというが

見えないものも出てくるのかもしれない。


うなちゃんには見えて、私には見えなかったもの

それは、目の問題ではなく

心の問題なんだろう。









うなちゃんとの授業は、週二回あります。


段々、何かを浸食されていくような

何とも知れない危機感を持っている私です。

子供はいつも、予想外のことをします。

特に、うなちゃん。


今日は、日本語をペラペラ話す

うなちゃんの話です。








うなちゃんは、普通の台湾人だけど

なぜか日本人幼稚園に通っている、六歳の女の子。

日本語は結構、ペラペラ話す。



先日、彼女に

時計を教えた。


偽物の時計の、針(短針のみ)を回して

「何時?」と聞いてみたが

ぱーっとしていて、答えない。


どうやら、日本語以前の問題で

時計の見方が、よくわかっていないらしい。



数日後、うなちゃんは

「見て!」と言って、腕を出してきた。


ピンク色の、子供用の腕時計がつけてあった。

「かわいいねー」と言うと、嬉しそうにする。


「何時?」と聞くと

「んー、わかんない」と言う。

何のための時計だろう。


「ほら、六時だよ」

と私が言うと、うなちゃんは

私の腕時計を指差し、こう言った。


「じゃあ、先生のは?」


時計の概念を破る発言だった。

私は言う。


「先生のもね、六時だよ。一緒。

 時計ってね、そうなんだよ。」




また、先日は、うなちゃん

かわいい花柄のワンピースを着てきた。


「あらー、かわいいねぇ」

と言うと、嬉しそうに、くるくる回ってみせた。


くるくる周り、スカートをふわっとさせて

嬉しそうにしている、うなちゃん。

かわいい。


「かわいいでいしょ?」


「うん、かわいいかわいい」


子供っぽくて、かわいらしいなぁと

ニコニコして見ていたら、うなちゃんが言った。


「これ、日本にないでしょ?」


まさかの、日本と台湾の差アピール。

私は言う。


「う、うん、ないんじゃないかな~」


危うく

「それぐらい、あるもんね」

と意地を張ってしまいそうだった。







日本語はペラペラ話すけれど

なんだか、ちょっと不思議だったり

ちょっとおバカだったりする、うなちゃん。


彼女との授業は、毎回、未知との遭遇です。


次は、うなちゃんとの、ごっこ遊びの模様を書こうかと思います。