私には
14歳年の離れた
姉がいる
14歳も離れると
姉妹という感じは
もう無くて
母親のようなもので
家には母親が
二人いる中で
私は育った
母は生まれて間もない
小さな私を姉に預けて
仕事して収入を得ていた
年の離れた姉は
優しい姉ではなかった
姉は父方家系の気質で
負けず嫌いの勝気な性格で
カッとなると
我を失って
すぐ怒鳴ってきた
姉も
父と母が喧嘩する中で
生まれ育ってきたので
より気性が
荒くなったのだろう
私が保育園に
通っていた頃
朝居間の窓から
保育園のバスが
遠くから来るのを
見つけたら
私はダッシュで
道路まで走って
そのバスに
乗らないと
いけなかった
乗り遅れると
姉に怒鳴られる
窓際に椅子を置いて
バスが来るのを
目を凝らして待った
居間から
道路までは
約80mはある
本気で走らないと
完全に乗り遅れる
姉に怒られるという
恐怖に突き動かされ
私は毎朝それは
真剣勝負だった
そうは言っても
まだ幼い子どもなので
見逃さないように
外をガン見ていても
昨日とは違う
バスだったりして
見逃してしまう
その度に
姉にボロクソに
怒鳴られて
私は一人で
わんわんと
泣きながら
30分ほど
一人で歩いて
保育園に向かった
誰にも慰めて貰えず
非常に悲しかったのを
今でも鮮明に覚えている
姉は私より
頭も器量も良く
愛嬌もあって
駆け引き上手で
自分が欲しいものは
勝ち取る頭脳を持つ
私には勝てない
強大な存在だった
そんな姉は
手先が器用で
高校の頃には
和裁を習って
友人と競っては
次から次へと
着物をあっという間に
縫い上げるので
反物を買い与えるために
働いてお金を稼ぐのが
追いつかなくて大変だったと
母はよく昔の話をした
編み物も大得意で
一旦集中し始めると
何処までも編んでいくが
下手に毛糸を触ると
鬼のようになるので
注意が必要だった
なのに
料理は壊滅的だった
そんな姉が19歳で
私は5歳になった頃
姉は
村の青年と恋に落ち
結婚をすると言い出した