初出勤日の朝は
晴れてはいたが
まだ冷たい風が
強く吹いていた
私は地元で
あらかじめ
手に入れた
パンツスーツを着て
一本に髪を結えた
職場は
近いので
歩いた
本当にここには
人がいるのかな
と思うくらいに
気配のない町だった
その静けさは
まだ若い私には
何か物足りなく
私は一体ここに
何年いるのだろう？
と
不安になった
職場に着くと
二階の総務室に通された
ソファに座って
しばらくすると
もう一人の男性が来た
どうやら
私とその男性が
新入社員のようだ
諸々の手続きが終わり
挨拶回りをすることになった
各所担当で働く
職員のみなさんに
自己紹介して歩いた
窓口には
私と同年代であろう
非常勤の女性がいた
そして最後に
向かったのが
二階の薄暗い廊下先
営業外交員の部屋
ドアが開かれ
中を見渡すと
数人の男性外交員がいて
私の挨拶に耳を傾けた
挨拶をしながら
目が止まったのは
同年代ぐらいの
男性二人だった
おそらく
先輩後輩の仲なのか
私を見て
先輩らしき人が
おおっ！という
驚いた顔をして
隣の後輩を
肘で小突いた
私は
そのやり取りを
見ていた瞬間に
ああああああああ！！
この人に会うために
わざわざ海を渡って
ここまで来たのかああ！
と瞬時に
体感し
悟った
これが
彼らと初めて出会って
私が感じたことだった
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