東京に来て
三年目にして
ようやく私は
仕事で結果を出すことが
出来るようになってきた
それまでは
なかなか思うようには
ならなくて
イライラしては
心の中で
もう一人の自分が
酷く自分を責めて
鞭を振り上げては
私を叩いて罰していた
それくらい
結果が出せない自分を
否定していた
営業数字を挙げることは
自分の喜びというよりも
職場の仲間たちのためで
会社のためであって
私が代表となって
戦に出掛けるような
そんな感じだった
ノルマという
目標を達成しないと
私だけじゃなくて
内務みんなが
連帯責任とされ
罰を与えられた
沢山のチラシを手にして
暗くなった外に出されて
ポスティングして走り回る
小雨が降り出す日もあった
家族が居るのに
子どもが居るのに
疲れているのに
みんなのため息が
私の耳に刺さった
最初は営業なんて
興味は全然無かった
やりたいとも
出来るとも
思っていなかった
ただ
自分が希望する町に
住みたいためだけに
営業の上司に
執拗に迫られながら
仕方なく
始めただけだった
でも
数字という
わかりやすく
目に見える結果が
埋もれていた
私という存在を
みんなに知って貰え
注目されて
引き抜かれては
すんなりと
願いを叶えられた
しかし
今度は
一度上がると
落ちることが
営業をやめることが
恐怖で
出来なくなってしまった
役に立つ価値がある奴から
無価値な役立たずの自分に
転落するのが
怖くて怖くて
結果を出す私を
意地でも続けないと
ならなくなった
ラットレースの
ねずみのように
無我夢中で
２４年間も
走り続けた
嫌なことばかりか？
というと
そうではなかった
豆腐のように
打たれ弱い私を
強くするには
営業と言う
スパルタが
丁度良かったのかもしれない
断られても
断られても
ゾンビのように
すぐ立ち上がらせた
いつまでも
凹んでいられない
そんな時間は無い
営業時間内に
結果を出さないと
ダメになるるる！！
その恐怖感が
弱い私をしたたかに
奮い立たせてきた
ゴリゴリ生きることで
弱い自分を見なくしてきた
それくらい
本当の私は弱かった
なぜ
そうなのか？
あの頃の自分には
自分のことが
全くわからなかった
何もなくても
謎に落ちていくので
困った神様が
与えたのかもしれない
過酷な競争の中で
ようやく私は
最高優績という賞を
手にすることになった
つづく・・
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