「?・・・」
普通に手紙があるのなら、
まったく気にはしないが、
でも獄寺は、手紙は読んだらすぐに燃やすほうだ。
すべてにおいて何らかの証拠も残さないように
するとか・・・そういう理由だった。
その獄寺が、
手紙を
しかも大事そうに棚においてある・・・
俺は気になって、
悪いとは思いつつ、
その手紙の封筒を手に取った。
その封筒の裏には、
見慣れた小奇麗な字で、
贈り主の名前がある。
―――――沢田綱吉
「・・・ツナ?・・・」
その手紙には、ホコリがまったくかかってなかったので、
ごく最近のものだと思う。
だとしたら・・・
遺書?・・・・
もしそうだったらと思って、
俺は気づけば封を切っていた。
【獄寺くんへ。
この手紙は、交渉がきちんと終わったら
こっそり回収しようと思ってたんだけど、
読んでるってことは、
俺に何かあったんだよね。
本当にごめんね。
きっと今キミに悲しい思いをさせてると思う。
俺はこの交渉が危険なものだってわかってた。
でも、もしこれでみんなが平和に暮らせるならって思ったんだ。
どうも失敗しちゃったみたいだね。
獄寺くんにたくさん心配させて、
たくさん迷惑かけて、
全部獄寺くんに任せっきりで・・・
本当にごめん。
でも、1つだけお願いしていいかな。
俺がもし死ぬようなことがあっても、
絶対に泣いたり、悲しんだりしないで。
大好きな獄寺くんの泣き顔を見せられたら、
俺まで悲しくなるしw
獄寺くんには、幸せになってほしいんだ。
俺にたくさんの温もりをくれた獄寺くんには・・・
最後に一言だけ。
大好きだよ。獄寺くん。
ありがとう。
アイシテル。
沢田綱吉 】
それは間違いなく、
ツナの字。
小奇麗なくせに、どこか雑で・・・
何年たっても変わらない
思いやりのある言葉・・・
俺がどうしても越えられなかった壁が、
改めて突き付けられたようなカンジがした・・・・
「・・・・・ツナ」
俺は
いろんな感情がわけのわからないくらいに
混ざり合って・・・
ぶつかって・・・
そんな感情のまま、
手紙をそっと戻し、会議に向かった――――
そこはすでに全員集まっていて、
もちろん獄寺もいた。
難しい言葉がたくさんホワイトボードに並んで、
それに加えて上の空の俺は、
何も考えることはできなかった。
ミルフィオーレの事よりも、
頭の中を獄寺ばかりが巡る・・・
やっぱり・・・
俺じゃダメなんだろうか・・・
こんなことを考えるのは
死んじまったツナに対して不謹慎だってことくらい
十分自覚してる。
それでも、
この思いは
簡単に捨てられなかった―――――――
――――――――――・・・
会議のあと、
俺はツナの墓に花を添えようと、
森に入って行った。
その森は
ボンゴレの人間しか道順を知らず、
他の人間が入ることができない場所。
しかし、
奥から、人の気配がする。
俺は不審に思って、
足音を殺しながら近寄ると、
2つの人影があった。
「ぇっ・・・」
ツナと口付けを交わす、
獄寺の姿――――――――
そのツナは、
どこか幼くて、
俺はすぐに10年バズーカだろうと気づいた。
10年前のツナを、
強く抱きしめて、
獄寺は涙を流している・・・
獄寺を癒せるのは
ツナだけだということは分かってた。
でも・・・
それはツナであって、
ツナじゃない・・・・
真っ暗な深い闇に落ちた獄寺が
悲しみから逃れるために縋った相手は
俺では無い。
どうしても・・・
ツナなんだ―――――――・・・
続く