多くの人は頭痛が酷いと鎮痛剤を飲んで痛みを抑える。
だがまれに、散々痛みを我慢し続けた後に服用すると薬が効かなかった、という経験はないだろうか。
そもそも「痛み」というのは、体に起きた「炎症」を脳に伝えるための重要なサイン。 このサインを無視して痛みに耐え続けてしまうと、鎮痛薬が効きにくくなってしまったり、体に負担がかかってしまうこともあるという。
では、慢性的に頭痛が起きる人の薬を飲むタイミングはどのくらいがベストなのか。
①「ちょっと頭が痛いかも」の時なのか
②「今日は痛くなりそうだな」の時なのか
③「全く痛くないけど飲んどこう」なのか
慢性頭痛を治したければ正解は恐らく、③である。
日常生活で常時痛みが続いているのであれば、
頭痛に限らず何処の部位でも医療機関での継続的な治療が必要である。
逆に多少の原因があるにせよ、普段は全くの健康状態にも関わらず何かのきっかけや場面、ストレス、時間帯等の断続して起こる「偶発的な痛み」に関しては、
治療するのは医者でも薬でもなく本人でしか改善出来ない、とわたしは思う。
わたしは数年前から、線維筋痛症に悩まされた。
自律神経から発動してしまうその痛みは、いわゆる脳のバグとも言われ、痛覚異常、免疫異常、
要は精神の苦痛を身体中の痛みに変えることで、心を守る為の防衛本能であったと認識している。
だが体の痛みの苦痛に今度は心が病んでしまい、
結果的に痛みの悪循環を招いてしまっていた。
自分の事は自分自身でしか治せない、そう思い続けて
何年もひたすら痛みを克服するリハビリを続けてきたが、
去年辺りからか、うっすらだがこの難病の答えが見つかったような気がした。
偶発的、尚且つ断続的な痛みを解決するには、
何故痛いのかや、痛み時間帯を探るのではなく、
その逆に痛くない時があるのはどうしてなのかを考える事だった。
そして昨日より今日、今日より明日と、
痛くない時間を1分でも増やしていく作業、これが大事だったのだ。
お陰でわたしは今、完璧とまではいかないが痛みを克服しつつある。
線維筋痛だけに限らず、怪我や病気以外での痛みに対して、心と脳の免疫が完成しようとしていた。
ーーー今年の4月。
ある日の練習中に小次郎は、拳の違和感を訴えてきた。
パンチを打つ度メインの左拳に激痛が走ると。
打たれ強さ強化を過去に経験した我々は、痛みに対して多少楽観視していたところもあり、
格闘技をやる上で当たり前の事と、慣れよ慣れ、
なーんて悠長に話していた。
ところが良くなるどころか、握るのさえ日に日に辛くなっていた。
以前この件で病院には通っていたけれど、まぁ仕方ないくらいで鎮痛剤と塗り薬しか処方されず、根本から改善されることはなかった。
少なくとも、やっと打たれ強さを身に付け、勝ち続けていたこの勢いを止めるのが何よりも怖かった。
そこへ来てぎっくり腰にもなり、試合以前に痛みに対して小次郎が弱くなっていることに気付いたのだ。
こうなると、何かスランプをきっかけに拳の痛みが倍増してしまう不安を余儀なくされていたのだが、
わたしのそれは的中した。
7月、IBKO全日本大会。
その練習試合として一週前に出場した
腰痛から復帰戦の関東大会で、あっさり初戦敗退し、
続く翌週の全日本大会も、3回戦敗退となった。
迎えた翌月8月の全日本Jr.チャンピオンシップ関東予選、腰も回復し満を持して挑んだ大会であったが、
権利は獲ったものの準決勝敗退。
そこに、春までの強い小次郎の姿はなく、
焦るだけの平凡な選手、
7月、8月と計3つの大会全てを、なんと注意3の反則負けで全く試合にならなかった。
そして思った通り拳は更に悪化。
遂にはパンチを打っていなくても痛みを感じる程になってしまった。
病院の診断としては、手術か辞めるかの二択。
もうこの時小次郎は勿論のこと家族全員、残りの半年間空手を続ける気力さえ残っていなかった。
マジでね
辞めようとした。
でもなんか、こんな終わり方ってやっぱ納得いかなくて。
でもやってるのは小次郎
痛いのにやらせても、心が折れてるのに痛みは増すばかりだし。
そのタイミングで小次郎初のコロナ発症。
もう散々だよね
すっぱり、1ヶ月空手から離れて休もう!ってことにして
これを機に受験勉強も遊びもたっぷり付き合った。
どんどん、どんどん空手から気持ちが離れてくのが自分でもわかった。小次郎もね。
こうやってみんな辞めてくんだろうなぁって、考えてた矢先。
気分転換に家をリノベーションしちゃおうと断捨離だのなんだのしてて、小次郎にもいらねーもんまとめとけよって、休みの日話した日があった。
その日は丁度涼しくなってたし、体重も勿論5キロ近く増えてたんで、気分転換に軽~く練習でもして久々汗流そうなんて2人で練習場に行った。
パンチしなくて良いから縄跳びとか、基礎とか、
遊び程度でやろーなんつったものの
まぁ動けねーのね(笑)
たった1ヶ月でこれかよ!って、更に空手はもうやっぱ無理かなって思った。
そしたら息子が、
「そーいえば荷物仕分けしてたら昔の大事なものBOXに、小学校卒業の時パパから貰った手紙出てきたんだよ」
そんなん書いたっけ俺?
「そこにさ、絶対日本一なろうなって書いてあって、なんかジーンと来ちゃった」
って言うからね。
え?おめーやっぱまだ日本一なりてーか?って聞いたら、
「当たり前でしょ!何のためにやってきたかわかんない」
とまぁ、涙腺爆発の事言われたもんだ。
こいつ、まだ諦めてない。
そしてふと、このパターンどっかで?って。
心が折れて痛みが増す?
痛み。。。。
まてよ、これもしかしたら俺ならこいつの拳治せるかも!って、マジで閃いた。
痛みのスペシャリストだぜ俺、医者なんかに頼ってどーすんのよ。
そっからマジで1ヶ月勉強した。調べまくった。
ボクサーの拳負傷、経験者から聞いたり、色々アイテム試したり、薬じゃなくてもっと根本的な。
痛みのループ、悪循環を小次郎から取り除く。
出来ないことないさ、だって俺、親だもん。
研究して研究して、息子に試して、
打ち方も、痛みのサイクルもパターンも全部、
いつの間にか小次郎よりもわたしの方が把握出来ていた。
そして矯正した。それを毎日毎日面倒臭がらずにやらせた。
薬は一切飲んでいない。
9月に予定していた関東大会は初の辞退をし、
10月の関東大会までじっくり調整した。
間に合うかはわからなかったが、
大会前日、1ヶ月振りにわたしなりに研究した組み合わせのパットとバンテージを外して、素手でわたしをフルパンチさせた。
「い、痛くない、、、パパ!ヤバい治ってる!!」
迎えた昨日の白蓮ジャパンアスリート予選、関東大会
in埼玉