がんサバイバーシップ~がんと共に生きる時代 | 広島大学病院乳腺外科ブログ ~広島の乳がん医療に取り組みます~

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広島大学病院乳腺外科スタッフが、乳がんのこと、日常のこと、感じたことなどを交代で綴っていきます。ぜひ、気軽にコメントもいただければうれしいです!
注:このブログは広島大学公式ブログではありません。発言内容は個人の見解であり、広島大学とは一切関係ありません。

こんにちは

 

台風が日本を縦断する大変な月末でした。

広島は幸い難を逃れたのですが、大変でらっしゃる地域もあるかと思います。

お見舞い申し上げます。

 

台風の影響で広島でのマンモグラフィ読影講習会が中止となりまして

急に長時間拘束されるお仕事がなくなり、気持ちが少し呆けてしまったのか・・・

息子1の野球デビュー戦を応援したり久しぶりに親らしいことをしていましたら、

昨日が月末であることを認識していませんでした汗

広島市立北部医療センター安佐市民病院 恵美です。

 

本日担当の角舎先生に問い合わせたところ「今日は先生が書いてくれていいよ」ということでしたので

投稿させていただきます。

 

角舎先生は明日になるかと思います。

楽しみになさっていた方、もう少しお待ちください!

 

先週末も2日とも仕事に追われていましたが、日曜は広島の患者会主催の講演会で

重松先生も一緒にお話をさせていただいておりました。

昨年も参加させていただいたのですが、今回、私に与えられたお題は

「(がん)フォローアッププログラムとサバイバーシップ」

「転移・再発乳がん治療の根本原理」

の二つでした。

 

どちらも違った意味で難しいお題で・・・

特に後半の話は、できれば話す機会がないくらいのほうが良いのですが

 

実は昨年の講演では演台が絶妙に低くて、絶妙の前かがみ姿勢で話したため

途中からぎっくり腰の状態となりまして滝汗

油汗流しながらなんとか最後まで話した経緯がありまして

全くいつもの元気が出せずに少し悔やまれていたので、今年は!と思いましたが

今度は内容が元気いっぱいに話せるものではなかったというショボーンショボーン

でも、どちらの話題もとても良い経験となりました。

9月下旬ごろには例年通りYouTubeにアップされるそうですので

ご興味があれば是非、ご覧になってください。

 

今日は前半の話題について少しご紹介させていただきます。

 

がんの早期発見や治療法の発展により、がんを経験しても長く生きられる方が総じて増えています。

「がん=死」と捉えられがちですが、今はがんは「急性期治療を有する慢性疾患」と言えるかもしれません。

乳がんでも多くのかたが「がん」を克服して、でも「変化」と「なにかしらの困難」を抱えて生きていかれます。

がんにかかった人は、診断された時から生涯を通じて「がんサバイバー」となります。

吐き気や嘔吐など、がん治療の影響の多くは、治療が終わるとすぐに治まりますが、一部の影響は治療後も消えなかったり、治療後に初めて現れるものもあります。

 

乳がんの患者さんも、化学療法後やホルモン療法中に「不眠」や「集中力の低下」「記憶力の低下」を訴えられる方が少なからずいらっしゃいます。これらの症状は身体の変化だけでなく、精神的な影響も関わっています。

 

 

 

 

乳がんの治療とがんとしてのフォローアップは術後10年で再発転移がなければ乳癌の治療を行う病院での診療は終了となりますが、その後も様々な支援とフォローアップは医療機関や社会と連携して必要だと考えられます。

 

がんを体験した方の悩みや負担軽減のために必要なことは様々ですが

 

このようなことが挙げられます。

がんの治療を通して変化したご自分を

責めることなく

今までできたことができないことにショックやもどかしさはあっても

少し変化したご自分の体や生活環境を

『ニューノーマル』

新しい日常・平常

として過ごしていくうえで、必要なことはなんなのか

たくさん話していただければと思います。

 

 

がんと闘ってらっしゃる皆さんとは同じ土俵で話していいことではありませんが

私にとっても、外科医を目指して研鑽を積んでいく中で

結婚、出産、育児を不条理に女性という立場だからということだけでワンオペで担わされるというとてつもない変化は

私の身体や心をむしばんでいく大きな方向転換でした。

他の時間制限なく働くことができる医師と同等の条件を満たすことができないため

手術を担当できない

役割も担えない

 

そんなニューノーマルを受け入れきれなかった日々が長く長く続き

辞めてしまいたいと思いながらも、何とか水面から顔だけを出して息をしながら

出口のないトンネルをずっと進んでいるのか止まっているのかわからない年月で

 

幸い、やっと水から身体も出てやりたいことをできるような立場になってきました。

夫にも根気強く交渉し

明らかに仕事の時間的制約面では私のほうが忙しい、現在の我が家のニューノーマルにあわせて

新たな変化と環境を模索しています。

 

先日、大学卒後25年の同窓会がありまして

たくさんの同級生が集まりました。

私達の学年では100人のうち25人が女性でしたが

現在、常勤という形で仕事をしている同級生の女性医師は残念ながら数人です。

多くの同級生が医師としての何かしらをいろんなことで諦めたり選択したりしたのだと思います。

 

乳腺外科の世界では女性医師も当たり前に活躍しています。

社会のどんなところでも男女の性別や立場に関係なく

これが新たな普通

ニューノーマルとなる時代も、もうすぐだと思います。

そのために役立つのであれば

50代も、もうしばらく頑張っていきますキョロキョロ