温存乳房内再発 | 広島大学病院乳腺外科ブログ ~広島の乳がん医療に取り組みます~

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広島大学病院乳腺外科スタッフが、乳がんのこと、日常のこと、感じたことなどを交代で綴っていきます。ぜひ、気軽にコメントもいただければうれしいです!
注:このブログは広島大学公式ブログではありません。発言内容は個人の見解であり、広島大学とは一切関係ありません。

こんばんは 角舎です

今になってブログ当番であることを知り慌てています

 

現在、乳がんの手術書の執筆を分担していますが、私だけでは手に余るので、末岡先生と木村先生にも手伝ってもらっています

私の担当するテーマは・・・

 

「温存乳房内再発」

 

内容を簡単にかいつまんで書くと・・・

術後フォローアップ中に温存乳房内に再び乳癌を診断した場合、「そこを手術で切除すれば良いだろう」と単純に考えてはいけません。温存乳房内再発を診断した場合、まず

(1)再発が局所的なものなのか全身転移の一部としての再発なのか

(2)局所再発なのか二次原発なのか

(3)薬剤耐性なのか感受性が残っているのか

を評価する必要があります。

(1)   再発が局所的なものなのか全身転移の一部としての再発なのか?

 温存乳房内に乳癌が見つかった場合、まずはその癌が局所に限局しているのか、全身再発を伴っているのかを評価する必要があリます。遠隔再発がある場合には一般的には根治とはならないので化学療法、ホルモン療法、分子標的治療などが優先とな理、遠隔再発がない場合には根治可能なので薬物療法、手術を含めた治療計画を立てます。

(2)   局所再発なのか二次原発なのか?

温存乳房内再発には、最初の癌が残っていてそれが再発した「局所再発」と、最初の癌とは別に新たながんが発生した「二次原発」の二つがありますが、治療計画を立てる上でこの二つを区別することが重要です。局所再発の場合、乳管内進展が残っていて再発することが多いので、初回手術と接する区域にできることが多いのです。ER,HER2などサブタイプが初回手術と違う場合は二次原発の可能性が高く、二次原発=新たな乳癌として治療計画を立てます。

(3)   薬剤耐性なのか感受性が残っているのか?

 例えば術後アロマターゼ阻害剤内服中に温存乳房内再発した場合、その薬剤には耐性であることは明らかであり、温存乳房内再発の術後は他のホルモン療法や場合によってはCDK4/6阻害剤などの分子標的治療薬との併用なども考慮します。術後早期の再発であれば、ホルモン療法だけでなく周術期に行った化学療法にも耐性の可能性があリます。同じER陽性HER2陰性乳癌であっても、治療中や術後早期の再発であればより強力な薬物療法が必要であると考えられます。

 

というような内容で現在、執筆中ですが、なかなかあれもこれもと考えてなかなか進みません

温存乳房内再発は、乳がん手術症例の数%に起こるとされていますが、元々、乳がん患者さんには新しい乳がんもできやすいので、局所再発かどうかを見極めることが大事なのです

 

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