広島大学病院 乳腺外科の笹田です。
朝晩は大分冷え込むようになってきました。
突然ですが、抗がん剤の副作用って嫌なものですね。
どうして副作用は起こるのでしょうか。
副作用、、、広くは、「期待していた作用とは違う作用」のことのようです。
どういうことでしょうか?
有名なものに、「バイアグラ」という薬があります。
もともとは心臓治療薬(心臓の血管を広げる薬)として開発されていましたが、実際に使ってみると、「あれっ?別のところの血管が広がっている!?」
ということで、今はED治療薬が「作用」になってしまっています。
副作用、、、良いことも悪いこともありますが、
最近は、「薬の影響でおこる好ましくない作用」ということになります。
抗がん剤の副作用を考えるとき、抗がん剤が何に効いているのかを考える必要があります。
「抗がん剤だから、当然がんに効いている」、と思いたいところでしょうか。
間違いではないですが、正確でもありません。
「抗がん剤は、増えている細胞に効いている」と言った方が正確でしょう。
増えている=増殖している=細胞分裂している
多くの抗がん剤は、「DNA合成」を止めてしまいます。つまり、細胞分裂を止めることになります。
人の体で、よく増えている細胞は何でしょうか?
これらに影響すると、それぞれ
①皮膚や爪の障害、脱毛
②吐き気、嘔吐、下痢、便秘、口内炎
③白血球減少、好中球減少、貧血(赤血球減少)、血小板減少
④卵巣機能低下(月経停止、閉経、不妊など)
つまり、程度の差こそあれ、これらの副作用は多くの抗がん剤で起こるというわけです。
苦労された方も多いと思います。
このように、まずは大ざっぱに理解して、あとは個別の薬で特徴的な副作用を知っていくのが分かりやすいかと思います。
そして、活発に増えている細胞の代表格が「がん細胞」ということでもあります(作用)。