広島大学病院乳腺外科 恵美です。
昨日の朝はニュースを観ながら祈りつつ出勤しました。
『いったいどうやって子供たちを守ったらよいのか』
夕方、外来を終えて看護師と胸を痛め話し合いました。
命と向き合う皆さんのお手伝いをしている日常の中で、あまりにも簡単に失われてしまう命
私たちに何ができるのでしょうか…
その日の外来でやり残した業務を終え、急いで向かったのは県立広島病院で奇数月に行われている『広島乳腺超音波診断カンファレンス』です。
県立広島病院乳腺外科の野間翠先生が中心となって、乳腺診療に携わる医師や技師さんを対象として開催されています。
検診でも乳腺エコーが導入されつつある昨今、乳腺エコーの技術や診断能力を向上していくことは必須です!
広島で乳がん検診業務に携わる医療者の皆さんはこれらの勉強会などにも参加して研鑽を積み、レベルの高い資格を取得しています
私は最後に5問の『ミニテスト』回答と解説を担当しました。
年度初めで新しい方もいらしたからなのか、いつも70名前後の参加者で盛況なのですが、遅れて到着すると廊下にまであふれんばかりの人が!!
なんと、昨日は90名を超えたそうです。
特に、野間先生のミニレクチャー『乳腺超音波に求めること』が大変勉強になりました
野間先生の格言が ”マンモグラフィとエコーは互いに補いあうもの“ です。
検診でよく『マンモグラフィとエコーのどちらが良いのですか?』という質問を受けたり
『あなたはエコーのほうがいいと言われました』という言葉を耳にします。
マンモグラフィとエコー検査はそれぞれに得意な分野と苦手な分野があります。
エコー検査は高濃度乳腺の方を検査するのが得意ですが、逆に乳腺がとても少ない脂肪性乳腺の人では病変を見逃してしまうこともあるのです。マンモグラフィでは脂肪性の乳腺の方で小さな病変もよく見つけることができます。
病変の種類から考えると、乳腺の中の低エコー(黒っぽく見える)腫瘤や乳管の異常を見つけることは得意ですが、脂肪の中にある病変や、脂肪とよく似た高エコー(グレー程度のエコーレベルです)腫瘤や石灰化や構築の乱れ(引き攣れた影)で見つかるような病変は苦手なのです。
でも、そういった部分はマンモグラフィ検査が補ってくれます。
このように、マンモグラフィとエコー検査はお互いの苦手な分野を補い合って病変を見逃さないようにしているのです。
両方受ければいいじゃん!と思われるかもしれませんが、検診で皆さんが両方の検査を受けられるだけの受け皿はありませんし、医療費の問題もあります。
がんを見つけるための検診なのに、本来は気にしないでもよい良性や正常の病変まで指摘されて精神的な負担だけが増えるなど、全員がエコーを受けてよいことばかりでもないのです。
最後に余談ですが、マンモグラフィでうつるこの石灰化
実は、血管の石灰化です。
つまり、動脈硬化ということになります。
マンモグラフィでは動脈硬化の有無もわかるのです・・・
もし、血管の石灰化を指摘されたら是非、内科の先生に動脈硬化についてご相談ください。