こんなに独りの夜なのに

誰ひとり必要としない

無理はしない 泣きもしない

私さえいれば 本当にいれば

私さえいればそれでいい


くだらないフレーズしか口にしない 

それがよく合ってるけど

それがよくないけど合ってる


否定するものに理由をつけても たちまち風になって消える

それなら わけもわからず 納得いくものがほしい




今は何も見えなくても こうやって夢をみていれば

浅くて鮮明な夢を見ていれば 呼吸だけはできるらしい

重くて浮き上がってこなかった 真夜中の妄想は

ミイラになってからとりもどすから 今はいらない



本当のことを言うと 何もわかっていないのだ

どんな重厚な本を読んでも 助からないほど病気なのだ

かなり 待ったけど 私は今日にした

今日にして ほんとうによかった

夜中に起きていて ちゃんとした言葉をつづる

何もないことさえ言葉になる

何もないのに言葉がでる

何もないのに 何ひとつないのに 言葉だけは出せる

よく出せるよ 何ひとつわかっていない




命ではじまる言葉をさがして

なかなかはじまらない 歌をきかせて

ひざをかかえた私をつつんで

なんて きたない 言葉を つかうの

私はまだ きいているのに



夜明けまであいてるカフェを見つけて

カフェイン入りの液体をみつめる

さっきまで話していた言葉をわざと忘れたふりをして

雑音をすりぬける

けっこう 効いてる茶色いジュースに

儀式的な要素をみつけて 心だけはしゃぐ

私は何者なのかも知らずに

言葉になるのは ウソばかり

こわがるのは 当然でしょう?



水色の服のこども を見た

すぐに忘れて鏡に夢中になった


水色の服のこども を見た

すぐに忘れてアイスクリームをなめた


水色の服のこども を見た

姉さんの 白いドレスを破った


水色の服のこども を見た

空にキックした


水色の服のこども を見た

斜にかまえて写真をとった


水色の服のこども を見た

とり肌がたった


水色の服のこども を見た

犬を見て泣いた


水色の服のこども を見た

ピンクのえんぴつを折った


水色の服のこども を見た

指をさして 笑った


水色の服のこども を見た

左手でなでた


水色の服のこども を見た

水色の服を買った


水色の服のこども を見た

死んでおわびをしたかった




浅く 弱くなる呼吸をとめても

視界は鮮明なまま ゆるがない

そんな ばかな、 で目を見開くと

眼球から 顔のふしぶしまで こおりついた

オブラート 一枚の夢



昼間開いたままのページの上で

乱れた文字たちがありんこのように動き出す

私は それをじっと見つめながら とほうにくれるのだ

逃げてゆく言葉の群衆を 何ひとつできないまま

私の心が 砂のようにさらさらと こぼれてゆく


やがて夜がきて 小さなあり達がもとにもどるまで

弱まる心臓の音だけをききながら

静けさの中で つぶやくのだ


つぶさなくて よかった、と







深く 深く 掘っていくと  地表が近づいてきて

夢中になって掘っていくと あたり一面平らになる

目も当てられないほどに 真っ暗だった穴を

また いちから 掘り始めるのだ

地表がけし飛ぶように すりへって

穴の底に近づいてくる


掘るのみだ 掘るのみだ