美術作家 肥沼義幸の制作日記 -986ページ目

空間と大気を描く事

9月の頭、3日間続けてアドバイザーとの

アポイントメントがありました。


7月のプレゼンテーション以降、僕の作品は

抽象的要素、直線、曲線、人物が1枚の絵画

の中に組み合わさってきて、より複雑化して

きていたのですが、このスタイルは僕には

合っていない(難しすぎる)なぁ~と薄々感じて

いました。


アドバイザーのNarcisse Tordoir(ナシース)は

こう切り出しました。


「 Yoshi、シンプルな絵はどう思う?

最近のYoshiの絵はあまりに複雑でテクニック

のオンパレード、自分でもどう描いていいのか

迷っているんだろう。シンプルに描くっていうのは

実は一番難しいんだよ。」


なるほど~と思った僕は早速、画材屋に走り

小サイズのキャンバス数枚とアクリル絵の具に

紙100枚セットを購入。初心に帰り、水彩の作品

からもう一度描いていこうと思いました。



美術作家 肥沼義幸の制作日記



美術作家 肥沼義幸の制作日記



美術作家 肥沼義幸の制作日記



美術作家 肥沼義幸の制作日記



美術作家 肥沼義幸の制作日記



まずは身近なモティーフを選び、頭で考えるのは

ほんの少し、自分の感覚重視、イメージは空間、

大気を描く事と消えてしまう事の2つに絞りました。


僕はいつもアイデアが浮かんだら下書きをせずに

一気にキャンバスに描き始め、2週間ぐらいで1枚を

仕上げるという方法をとっていたのですが

水彩を始めて、どう手を動かし、空間を描くかという

とても重要な問題に気がつきました。


そんな訳で今は、もともと手が早いのですが油彩を

辞めてアクリルを使い始め、更に素早くイメージを

ダイレクトに定着させる方法を学んでいます。


油彩はねっとりとした重厚な質感が好きだったので

すが、それが余計に画面を重くし、鑑賞者がすーっと

絵画の空間に入って行けないのでは?と改めて感じ

ました。フランスでGeorg Baselitzの作品を見れた

事が、ここに繋がっていきました。


今月の半ばには、第2回目のオープンスタジオが

あるので、このまま実験を続けて何か新しい作品が

生み出せるといいなぁと思っています。